No.321 『一途な性分と上達の速さ』
11/18 更新
すぐ忘れてしまうのが悩みです
「練習でつかんだことをすぐ忘れてしまう」が私の悩みです。例えば塾長のレッスンにしても挑戦して、イケルと思ってもなかなか続かないんです。維持するのはやはり練習なのでしょうか。つかんだことを忘れないための方法を教えてください。
(東京都・34歳)
何よりも 愚にして鈍の気質が必要
愚にして鈍の性分なければ上達は難しい。あるレベル迄は賢にして鋭の性分が上達させてくれるが、そこから先へ進むには愚にして鈍の性分が何としても要るものです。
芸事、スポーツ等、基本を必要とする上達事は賢と鋭の性分があるレベル迄を踏み固め、その後を愚と鈍の性分が築き上げて行くものと思う。
今の少年少女達、賢と鋭の性分は、十分過ぎる程に持っている。なれど、愚と鈍の性分にいささかの不足あり、とゆう気はする。例えるに、性分の骨粗しょう症状態になっているのであろう。忍耐力を作るのは愚にして鈍の性分と思うが、そこが不足している。
大狂いせよ、とか、大馬鹿になれ、と昔の指導者は教えた。それは愚にして鈍の心になって一つの鍛練をなせ、との教えであったと思う。目標も一つ、鍛練手段も一つ、で愚にして鈍の性分は歩く足を持つものだ。
貴兄には一途さ、一徹さが欠けている。頭で理解するのは簡単過ぎる程に簡単な事。でも、体で理解させなきゃ結果は出て来ない。頑固とゆう性分、時に良癖、時に悪癖の性分となる。賢にして鋭で進み行く初期レベル、頑固とゆうは悪癖となろう。だが、愚にして鈍で進み行く時、頑固な性分は良癖となり得るものだ。
貴兄は頑固になれ。頑固さが足りていない。練習量の多さを問う前に性分の切り換えは要る。愚にして鈍になればいいだけ。難しくはない。ショートスウィングに徹する事だ。200球、球打つ時、200球全部、ショートスウィングで打てばよい。
周りの人に、あいつは阿呆になった、と言われる位、阿呆になればよいのです。人の眼線、人の声を無視しなきゃ変われはせぬ。人の眼線、人の声を意識し、その眼線と声に従っている間は人並み。人並みとゆうのは、その人と同じ練習した時、その人の半分の結果しか出せぬ事、と私は思っている。
人並みの練習をして、人と同じ結果を求めるのは強欲。金と時間あれば練習量は追随出来る。金と時間あっても追随出来ぬは練習の質。質を作り行くは基本。基本となるはショートスウィング。ショートスウィング以上に基本の作れる打ち方があれば教えて貰いたい。ない、と思う。
貴兄は愚鈍になれ。なにも多くの球を打つ必要はない。少ない練習量の中、ショートスウィングに徹して貰いたい。気を散らしちゃいけない。一途になる事だ。
気を散らすとゆうのは、ローソクの灯を持って闇の廊下を歩くのと同じ事。風吹けば、ローソクの灯は揺れるし、己の歩きの速さでも灯は揺れる。速くは歩けないのがローソク行脚。
気を散らすのはローソク行脚と同じ事。今、貴兄はローソク行脚の状態にいるのだと思う。
一途になれ。貴兄はショートスウィングに徹せよ。
この「野性塾スペシャル版」は週刊GDの過去の連載からピックアップして転載したものであり、周囲の状況が現在と異なっていることが多々あります。
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