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ゴルフ野性塾SP

No.341 『昼食休憩で間合いが変わる』 4/14 更新


後半ラウンドで突然崩れます

ハーフターン時に飲むビールを私は大好きなのですが、前半自己ベストに近いペースで回っていて、後半突然崩れ出すケースが多くあります。集中力不足のためなのか。集中する方法を教えて下さい。

(東京都・37歳)


ボールと体の距離が問題なのです

photo ボールと体の距離がズレた時、スウィングは変わってきます。朝一番のティショット、勇気持つ方はボールと体の間合いを詰めたアドレスして来るものだ。そのアドレスを勇気のアドレスと言う。

結果を恐れ、予期不安に緊張し、その恐れと緊張でスウィングに自信持てぬようになった方はボールと体の距離を練習よりも遠きものとしている。

私は勇気を持たぬ人間でした。だから恐れと緊張の味はよく分かっているつもりです。いい味じゃない。マズい味だ。私は間合いを崩すゴルファーであり、それ故に木曜日の朝一番のティショットには警戒心抱いて臨んだものです。

警戒心が解決する事って少ないものだ。その事に気付いたのはごく最近。5年前であった。それまでは警戒して、スウィングを縮めていた。朝一番のティショットには蛮勇が必要。大きく振れる体技心であれば緊張はしても緊張に縛られる事はない。怖れに心を縛(ばく)され、緊張に体を縛されるのが一番悪しき事。蛮勇は怖れと緊張の縛をブッタ切るものだ。

何も考えずに普段通り打てるのがプロの資質であろう。プロの資質とは1番ホールの蛮勇であり、ラスト3ホールの知勇である。私は1番ホールを知勇で臨もうとし、ラスト3ホールを蛮勇で臨もうとした愚か者。ラストの戦いに蛮勇を持ち込んだ段階で追い込まれの状況ではあった。

金持ち喧嘩せず、大欲持つ者知勇で凌ぐと申す。小欲持つ者は一か八かの勝負に踏み込まなきゃならない状況に陥るものだ。知勇じゃなく、蛮勇旗振りかざしての踏み込み。成功の確率は極めて低い。低くてもやらなきゃ予選通らないのだから突っ込んで行くばかり。一か八かのサイコロ転がしは八に向くようになっている。

photo 1番ティショットのアドレス。普段よりも遠くに構え、それでいて縮んだ打ち方をなさる方は多い。私と同じ間違いをなれる方は本当に多い。1番ホールのティショットは蛮勇で、がゴルフの基本。グッとボールに迫り、その近い距離でスウィングして行く勇気は要ります。

貴兄はビール飲んだ後、蛮勇のアドレスをなくしているのではないか。昼食後、スウィングを崩し、ボール捕らえのタイミングを崩し、ミスの連発でスコアを崩して行くのはアドレス時のボールと体の間合いのズレが原因と考える。伸び切った間合いから日頃のスウィングするのは難しい事だ。ボールと体の間合いを維持するはゴルフの基本なれど、プロにもアマにもこの維持は難しい。特に休憩の後の維持が難しい。

ゆっくりした素振り10回やれば間合い維持感覚は戻りやすくなるが、ビール飲んだ後の素振り10回は面倒であろう。その事、飲まない私にも分かります。多少の酔いがありて、おかしな事に頭の中は冷静。10番ティに立ってスウィングを考え、スコアを考え、残りの9ホールの展開を考えれば蛮勇の入る要素はどこにもない状況となり、ボール1個分の遠い間合いとなって横殴り打ちか、突っ込み打ち、果ては合わせ打ちで、飛び出たボールは右や左のだんな様。どこへ行くのか、オイラのボール。

酔いが招いた瞬時にして変わりて崩れの道の信号は青信号。ゴルフの難しさ、ここにありですな。集中力の問題ではありません。集中力作るはゲームの流れ、ゲームの勢い、ショットのリズム、ゲームのリズム、ショートパットを外さない丁寧さなどであり、集中するぞと己の心に問いかけたとて集中できるものではないと思います。

集中するぞ、と呟くよりは、気合いだ、と叫んだ方がまだいい結果を生むものだ。気合いと叫ぶは集中、と叫ぶと同義語。柔道をやっておられた方であれば理解して頂ける話と思うが、気合を入れて力が増すのではなく、気合を入れれば集中の力が増し、その結果として力が増して行くの流れ。

集中力は力の渦の中心に位置するものであって、外輪のものではない。渦の中心、内輪、外輪の関係を明らかにすれば事の因果関係も見えて来るものだ。これまでの理論は体技心、総ての部分でこの三位一体に眼を向けていなかった。

貴兄はゆっくりした素振りをして、前半のラウンドの間合いを取り戻せ。一時間の食事休憩で間合いは忘れられている。

健闘を祈る。




この「野性塾スペシャル版」は週刊GDの過去の連載からピックアップして転載したものであり、周囲の状況が現在と異なっていることが多々あります。

つづく
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目次
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No.459 距離感をあわせるには・・・ (10/6)
No.458 バックスウィングは・・・ (9/29)
No.457 選手のマナーについて・・・ (9/22)
No.456 助言で崩れたら、新たな・・・ (9/15)
No.455 一途に6アイアンを打ち続けなさい (9/8)
No.454 素振りで上達する方法 (9/1)
No.453 夏のゴルフは無理をするな (8/25)
No.452 50歳を越えてからの練習法 (8/11)
No.451 咀嚼の力で・・・ (8/4)
No.450 球落ちの原因は・・・ (7/28)
     
   
 
坂田信弘

京大中退からゴルフを目指した異色プロゴルファー。主として週刊ゴルフダイジェストを根拠として漫画の原作、競技観戦記、レッスン書、レッスンビデオなど八面六臂の活躍をしているが、現在は次代のゴルファー育成のため開始したジュニア塾の塾長として脚光を浴びている。スウィング型を作るための「ショートスウィング」を提唱。
 
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