No.342 『素振り、七つの効用』
4/21 更新
効率のいい素振りを教えてください
「素振り」は、いつでもどこでもできますが、最も効率良く振る素振りはありますか。力が入らなくてよく振れるようになる、とあるシングルの方に言われました。坂田流の素振り(ショートスウィングの素振りなど)を教えて下さい。
(山梨県・37歳)
「作る」でなく「固める」のが素振りです
素振りの効果を考えたい。
素振りは一にスウィング型を筋肉に覚えさせるが為。
二に同じ動きを繰り返す中でリズムを作るが為。
三に体重移動のスムーズさを身につけるが為。
四に関節の柔軟化。
五にスウィング軸の確保。
六に無駄な動きの削除。
七にスウィング中のスムーズな呼吸作り。
と、素振りの効果は7項目に亘るが、何といっても一番大切なのはスウィング型を筋肉に記憶させる事でありましょう。
スウィング型を覚えた筋肉はスピードを持つ。人間の体、一気のスピードは作りにくい。アドレスからバックスウィングへと移り、トップ、ダウンスウィング、インパクト、フォロー、フィニッシュへと加速と減速の中で作り行くスウィングスピードであろう。スウィングの余韻とは減速後のスピード感を言うものと思う。
いずれにしても間違いしスウィング型を筋肉に覚えさせたくはないものだ。正しい、基本通りのスウィング型を覚えておきたい。手順を前後してはいけないし、認識の前後もいけない。素振りでスウィング型が作れるのではなく、正しいスウィング型を筋肉に覚えさせるのが素振りの役目。そして、繰り返す素振りで無駄の動きを排除して行けばシンプルなスウィングは生まれよう。
初心者の方に素振りせよ、と過去の指導は教えた。違います。最初に初心者に教えるのはスウィングの基本型である。その後で素振りを繰り返して貰い、型の確保すればよいのです。
貴兄はスウィング型を作れ。そのスウィング型で素振りすればよい。ただ、がむしゃらに振り回しても美しいスウィング、リズムあるスウィング、無駄の少ないスウィングが得られるはずもない。過去の教えは余りにも遠回りであった。
西から東へ行きたいのに、西からスタートしてまず北へ向かい、次に南に向かい、南の地から東へ向かうようなものであった。理論を持てば5000球の球で得られるものも、理論なく基本なく我流で打てば50000球の練習球必要とするものだ。
例えの話、腰にゴム紐がつながっていると思って貰いたい。基本知らずの方のゴムは100メートル以上伸びる事の出来ぬゴム紐。基本知りて、基本のスウィング型で素振りなさる方は1000メートルまで伸ばす事の出来るゴム紐。100メートルの上達領域と1000メートルの上達領域。随分と歩く道の距離は違うと思う。
基本を知ればシングルにはなれるものだ。遅くはない。シングル入り目指しておられる方は基本型に眼を向けるべきであろう。素振りには素振りでしか得る事の出来ぬ効用はある。それはスウィング型の確保。その為にも基本スウィング型を知るは必要。知りて、素振りで固めて行けばよいのです。
坂田流の素振りと言われるが、そんなものはありません。素振りは正しいスウィング型を作り、素振りの数で固めて行くだけ。
ショートスウィングの素振りのやり方は二本のクラブを重ねて振ればよいと思います。6アイアンを基本とし、6アイアンのシャフトの裏側、体寄りのシャフト位置にもう一本のクラブを重ね合わせればよいのです。
ヘッドのついていない、シャフトとグリップだけのクラブ、7アイアンのシャフトの長さが理想なれど、グリップ位置を6アイアンのホーゼル位置に合わせるのです。
要するに、ヘッドのついている6アイアンに、ヘッドのついていないシャフトとグリップだけのクラブを重ね合わせればいいだけの事。6アイアンのグリップの裏側に、ヘッドのない細くなったシャフト位置が重なり合ったクラブでの素振り。この二本重ねクラブで素振りするとフォローからフィニッシュにかけて腕が伸びやすくなります。
結果、スウィングが大きくなり、右肩の回りはスムーズになり、体重移動もスムーズになる効果はあります。お試しあれ。
この「野性塾スペシャル版」は週刊GDの過去の連載からピックアップして転載したものであり、周囲の状況が現在と異なっていることが多々あります。
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