No.354 『縦振りが飛距離を伸ばす』
7/14 更新
飛ばすためのステップアップ法は?
昨年はクラブのせいか、飛距離が伸びました。まだ欲があります。今年もさらに伸ばしたい。新たにクラブを替えるか、スウィングを変えるか、飛距離を伸ばすためのステップアップ法を教えて下さい。
(群馬県・41歳)
トップを高く、フィニッシュを高く!
飛距離は育てられて行くものと思う。ゴルフを始めたばかりの方が300ヤード打てるは至難。体力体型に恵まれていたとしても、我論、我流で300ヤード出すは難しく、200ヤード打つにはスウィングの基本型は要るものでしょう。
飛距離は育てられていくものだ。育てるのは芝生。そして芝生がスウィングの基本を大きく変え得る力を持つ。以前から感じていた事なれど今般の40日の南の国の旅でその事を確信しました。
タイ、マレーシア、シンガポールのアマの方の飛距離は半端なものじゃなかった。皆、南方の葉の幅が広くて厚い剛の芝に対して縦の振り方をしていた。フラットな横なぐりスウィングの方は並の飛距離しか出せず、280ヤード以上打つ方は縦振りして来た。
横に振っていたんじゃ方向性は掴めず、飛距離出ないのが南方芝。芝の影響を少しでも受けまいとするスウィング弧、それは縦振りであった。インパクトで伸び上がってもいい、トップで伸び切ってもいい、フィニッシュで両腰が伸びてもいい、いずれにしても縦に振り抜く人だけが280ヤード以上の飛距離を出して来た。
綺麗なスウィングじゃない、幾つかの欠点の散見できるスウィングであっても縦に振れば280ヤード。これが南方芝での飛距離の出し方だった。
私は50歳の時から52歳の時迄の3年間、アメリカ・シニアクォリファイに挑んだが、南方芝で育った人のスウィング弧は縦であり、充分なる飛距離も出していました。
アメリカ国内には一つの格言がある。それは、飛距離求めて南に向かう、だ。北に住む方が北の芝の上で縦に振ろうと心掛けてもやる気と体の動きは一致しがたいものであろう。幅狭、幅薄の芝の抵抗は弱く、横なぐりに振って行っても、そこそこの飛距離は得られるし、第一、体はきつくない。縦に振るには背中側の筋力の強さは要ります。
老い行く程にトップ位置もスウィング位置も低くなり横に振るようになるのは背中側の衰えが第一の原因。スウィング型を変えるのは体力の衰えであって、トップ時のグリップ位置が頭の下に来る様ではプロの領域、まずドライバー飛距離でハンディを背負うものだ。
尾崎将司がさんが凄いのは55歳にして高いトップ位置とフィニッシュ位置を維持しているからでしょう。青木功さんも岡本綾子もアメリカに行ってから高いトップと高いフィニッシュ位置になった。低くなれば飛距離は落ちます。軟らかい芝の日本では戦えても南方では戦えない。芝の強さに負ける。
ゴルフに於いて一番大切なのはクラブヘッドの作るヘッド弧である。世界のゴルフ場で戦うには縦のヘッド弧は要ります。フラット弧では方向性で負ける。飛距離で負ける。芝生の抵抗力に負けて行く。
飛距離を育てるのは芝生の強さだ。そしてスウィング理論。貴兄はトップ位置を高くせよ。フィニッシュ位置を高くせよ。老いし人のスウィング理論は聞くな。人は己の論を擁護するものだ。老いし人は低い位置を正しいという。阿呆抜かせってんだ。低いトップ、低いフィニッシュでアメリカの南方の芝を打ってみりゃ一発でわかる。方向性も飛距離も日本以下。
タイで打ってみりゃ分かります。哀れな飛距離しか出ない。そしてスウィングがブッ壊れ、自信をなくし、悲しい想いでゴルフ場を去ることとなりましょう。縦の振りは万国に通じるヘッド弧。横の振りは日本、韓国だけに通じるヘッド弧。杉原輝雄さんのヘッド弧は縦であった。高いトップ位置、高いフィニッシュ位置で戦い続けた方だ。ヘソの下は衰えてもトップ位置高く、フィニッシュ位置高くを目指したい。
然ればスウィングの老いは訪れないものと思う。ショートスウィングは高い位置作りに最適の打ち方。芝生が教えた理論を求めて欲しい。努力あれ。
この「野性塾スペシャル版」は週刊GDの過去の連載からピックアップして転載したものであり、周囲の状況が現在と異なっていることが多々あります。
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