マネジメントの発明者と言われるピーター・ドラッカー。経営学の神様とも謳われるピーター・ドラッカーの考え方を応用した
“ゴルフ・マネジメント学習法”がAI(人工知能)と出合いさらなる進化を遂げたという。
いったいどのような進化を遂げたのか?その進化に迫ってみた。
Chapter1 ゴルフをマネジメントしてみたら……。
ゴルフはなぜ練習しても上手くならないのか
たくさんのゴルファーが100切りを目指して、レッスンを受けたり、役に立ちそうなレッスン本を読んで上達を目指しています。しかし「やっと『つかんだ!』と思ってラウンドしたら元に戻っていた」、「コーチの言うとおりに練習しているけれど、上手くならない」という話をよく聞きます。
このようなゴルファーに話を聞くと、いくつの特徴が見えてきます。1つ目は「練習後に評価反省をしない」、2つ目は「課題を持たずに練習している」というものです。
つまり、せっかくつかんだ練習の成果やフィーリングがすべて記憶の中にあり、記録として残っていないのです。
記憶ではなく、記録で上達する
ドラッカーの考え方は、
① 客観的に観察する ②重要なことに集中する ③目標管理で成果を上げる ④学び方を知る、の4つです。これはビジネスマンには馴染みのある考え方です。
この4つの考え方を体系化しツール化したものを“フィードバック手帳”といいます。ドラッカーはフィードバック手帳を使い、日々の生活で「目標を設定して、その成果と照合」することにより自分の「強み」がどこにあるのかを観察していました。
これをゴルフに置き換えると、練習の後、「目標に対して結果はどうだったか」、「なぜそうなったのか」、「解決すべき課題は何か」、「次の練習で何をするか」を観察することになります。フィードバック手帳は目標の達成度ではなく、「自分自身を知る」ことに焦点を当てています。
自分には何ができるのか、何ができないのか。記録を続けていくと、こうしたことがクリアになり、自分の「課題」と「強味」が見えてきます。
Chapter2 記憶する練習から記録する練習へ
現状を分析し、仮説を立て、練習の課題、テーマを見つけよう!
フィードバック手帳は、非常にシンプルです。
「練習の結果はどうだったのか:What(現状)」、「何故そうなったのか:Why①(仮説)」、「解決すべきテーマは何か:Why②(課題)」、「次の練習で何をするのか:How(戦術)」を繰り返し記録するだけです。
フィードバック手帳は『ゴルフで覚えるドラッカー』で初めて紹介し、多くのゴルファーから好評をいただきましたが、ひとつの問題がありました。それは、フィードバック手帳の効果は凄いけど「書くのが面倒くさい」、「自己分析ができない」、「時間がない」と感じたゴルファーがいたということです。
ChatGPTで記録する
AIが日々飛躍的に進化しているという話は、皆さんも目や耳にされていると思いますが、いざ自分が使うとなると“何に”“どう使う”がイメージできないと思います。なにせ最初の入り口がわからないのですから当然です。
しかし、ゴルフにAIを使うなら話は別です。例えばフィードバック手帳をAIで自動生成できれば、先ほど話した「面倒くさい」が一気に解決できて効率よく上達できるようになります。
AIを使いこなすことができれば、練習が終わったら、スマホで練習の結果や感想を入力するだけで、勝手にフィードバック手帳が生成されるのです。
Chapter3 ゴルフで覚えるAIチャット
フィードバック手帳をAI(人工知能)で作ってみた!
ここでは、AIのなかでも一般的で手軽に使えるChatGPT(OpenAI社)を使ったフィードバック手帳の作り方を説明します。AIというと難しいものと思われるかもしれませんが、実際に使っていただければ驚くほど簡単だということがお分かりいただけると思います。
【 ChatGPTとは】
アメリカのOpenAI社が開発・提供しているサービスで、13歳以上(18歳未満は保護者の許可が必要)であれば、アカウントを作成して使用することが可能。
https://chat.openai.com/
Chapter4 AI活用の未来
自分だけの専属コーチを作ってみよう
『AIフィードバック手帳』が実際に使えるかどうかの実証実験として、若林功二プロの許可を得て、単行本「ゴルフ 奇跡のレッスン」(2022年、ゴルフダイジェスト社)を学習させてみました。若林プロに効果について語っていただきました。
若林「効率よく上達するには、練習後に自分の課題を見つけなければなりませんが、面倒な作業ゆえやっている人はほとんどいません。AIフィードバック手帳は、ゴルファーが感じたことをスマホに話しかけるだけで、AIがZ打法のメソッドに沿ったフィードバックを行い、練習の分析や、次の課題と練習メニューを生成してくれました。私のスクールでもぜひ使ってみたいですね」
ChatGPTなどを使って自分専用のAIコーチを作ることは可能です。自らの手で、あるいはプロやインストラクターと一緒に、挑戦してみてはいかがだろうか。
『レッスンの匠【新・ゴルフで覚えるドラッカー】』は、チョイス242号(2024年春号)に詳しく掲載されています。