Lesson1
桜美式とは何か?
九州のトップアマ、篠塚武久さんがこの理論の開拓者。
その始まりは約25年前、福岡大学の大石廸夫教授に「今までの固定概念は捨て去り、一緒にゼロからゴルフスウィングを分析しましょう」と持ち掛けられたのがきっかけだ。
大石教授による、人間の心理、身体の構造、そして物理などの分析を元に、篠塚さんが実践を繰り返して練り上げたのが、現在の桜美式「OS理論」だ。
【桜美式のポイントとは?】
●体の動きの矛盾をなくすこと。
●自然な体の動きが飛んで曲がらないスウィングをつくる。
●無理は下手の始まり。だから、フェースも腕もねじらない。
このクラブの動きをイメージできれば“タテ振り“にこだわる必要はなくなるが、さて、どう振ればいいのだろうか。
Lesson2
これが最新10フィンガー
棒を1本プラスしてみると10フィンガーの意味がわかるという。
短く詰めたアイアンのグリップ部分の中間に、フェースと平行になる横棒グリップをプラスする。これを上下で握り、左右に倒さずに振ると、フェースを開閉せずに球を打つクラブの動き、手元の動きがイメージできる。
「まず“クラブの動きありき”。クラブをこう動かしたいから手元や体はこう動く、と決まっていくんです。」(篠塚)
“プラスグリップ”でイメージできるのは、通常のグリップで腕をねじるようにしてフェースを開閉させる打ち方ではなく、腰の高さより下、いわゆる“ビジネスゾーン”でフェースターンさせず、ヘッドが手元を追い越して先に出るようになる打ち方。それは“スナップ”で飛ばすイメージになるのだ。
Lesson3
なぜ最新10フィンガーなのか
通常のグリップに慣れたアマチュアには、難しく思えるだろう。
「従来のオーバーラッピングとかインターロッキングだと“スナップ”はもちろん、フェースを開閉しない打ち方は難しい。指や手首が痛くなるかもしれません。だから私は10フィンガーを薦めるんです」(篠塚)
ゴルフ独特のオーバーラッピングやインターロッキングよりも、ただ自然な10フィンガーのほうが優れている、というのが篠塚さんの持論だ。
右手と左手、別に動くほうが
スウィング軌道は安定する
「長さのある道具で、正確に対象物をヒットするには、両手の役割を“分担”させるのが正解。左手は抑えや受けに使って、利き手である右手の感性を生かすというように、役割分担させる使い方ができるグリップであるべきです」
“プラスグリップ”の横棒を軸にヘッドをリリースする動き。右手の感性を生かせる10フィンガーなら、難しくなくなるのだ。
Lesson4
なぜ、ねじらないのか
ねじらないことでインパクトの“厚み”が無くなり、打球が軽くなったり、飛ばなくなるのではないか?
「フェースをプレーンに直角に走らせることで“押し”のあるインパクトになります。ダウンでもフェースを開いていないので、つかまりも十分です」(篠塚)
それを実証しているのが米ツアー飛距離No.1である、ダスティン・ジョンソンだ。
彼も実は体をねじらない。ヘッドは手元を追い越し、スナップを利かせているのがわかる。曲がらず飛ぶ理由だ。
「要はインパクトエリアでヘッドの走りを邪魔しないこと。スウィングプレーンに沿って下りてきたヘッドのベクトルを、腕のねじりや体のねじりで歪めないことが大事なんです。
インパクトエリアに手元が戻ったときに“横棒”を倒さない意識を持てばヘッドが勝手に走ってくれます。筋力に頼らず、飛距離アップできます」(篠塚)
Lesson5
桜美式でスナップ!
理解できてもオーバーラッピングやインターロッキングはアマチュアには難しいのではないだろうか? アマチュアにはスナップを利かせることは至難の業に見える。
「それは、指主体で握る、従来のオーバーラッピングやインターロッキングで握っているからです」(篠塚)
ねじらずに振れば意識しなくてもスナップが使える。ねじれが生まれるのは親指・人差し指・中指を使うという。
そこで生まれたのが、桜美式の10フィンガーグリップだ。
親指をグリップに乗せず、両手ともパーム主体で握るのがポイント。
「これだと右手のひらでフェースのスクェアを感じ取り、アドレスも決まりやすい。“横棒”を軸にしたスナップ動作も、指で“ねじる”動きを入れずに利かせられます」(篠塚)
Lesson6
桜美式パッティング
桜美式の斬新な効果はパッティングにもおよぶ。
「ボールに対してではなく、目標に対してアドレスすることが大切。だから、アドレスに入る際には“ラインに直角”のイメージを指導しています」(篠塚)
桜美式ではフェース面がラインに直交し、ヘッド軌道がストレートに動く位置に立つことが最優先。
「だから、ラインに“直角”に入っていくんです」(篠塚)
このアドレスは、桜美式パッティングでより明確になる。
アドレスの基本は“ラインと直角”のイメージだ。
ラインに対して直交する位置からボールに近づいて、ヘッドも手前から差し入れる。ラインを“正面”としてとらえることで、体軸が傾かず、肩の面もそっぽを向かなくなる。
「足の位置や腰の向きは、それほど重要ではない。肩の向きだけです」(篠塚)
体軸、手元の軌道、ヘッド軌道とリンクするのは肩の向きだけ、ということか。このアドレスの入り方は、桜美式の全ショットに共通している。
【桜美式パッティング・シンプルな技術でミスを減らすための工夫】
●スタンスを狭めて、右足に全体重をかけてアドレスをする。ラインに直角に入る際、右足を半歩前に出すようにすると、やりやすい。
●フォローは上に抜いていくと、フェースの向きが変わらない。
●ボウリングの投げ方のイメージで、右手でボールを放り出す。右肩を軸に、右腕と右手のひらを目標方向に出す。実際に打球の転がりが良くなる。
『超最新式10フィンガーグリップ【桜美式のすべて】』は、チョイス2017年春号に掲載されています。