名著から読み解く近代プロのレッスン
ボビー・ジョーンズ、ベン・ホーガンからレッドベターまで。
先人たちの知恵と情熱の名著を読んで、歴史と発展を読み解いていこう。
1930年~1960年
【近代スウィングの確立】
経験則から理論へ。スウィング研究が花開く
近代的なスウィング論は、20世紀初頭に活躍したハリー・バードンから始まったという考え方もあるが、現代にも通じるとなると、クラブの進化から区切りをつけるのが正解だろう。
ポイントは1930年代のヒッコリーシャフトからスチールシャフトへの転換。それまでのリズムやタイミング重視で安定性を求めるものから、よりパワフルに、メカニカルな技術で〝遠く、正確に〟を実現するようになったのだ。その過渡期には、もっぱらフックを防ぐ技術が研究されていたが、徐々に強打とコントロールのバランスを取るスウィング論が展開されるようになる。その代表的な理論が、ベン・ホーガンが提唱した「スウィングプレーン」だ。
1970年~1980年
【スクエア打法の時代】
日本国内でも大ベストセラー
トーナメントのテレビ放映が始まり、スウィング動画、写真の研究が進むと、ティーチングプロの世界で新たなメソッドが構築されるようになった。その走りと言えるのが、1970年代の「スクエア・トゥ・スクエアメソッド」だ。ベン・ホーガンのプレーン理論ではなく、スクエアグリップとニーアクションによるスライド。いかにスクエアなインパクトゾーンを作るかに重きが置かれるようになった。
1990年~2010年
【スウィングを科学する時代】
ボディターンからバイオメカへ
1980年代に入ると反復性と安定性を重視し、ホーガンのスウィング再研究の気運がティーチングの世界で高まっていった。反アップライト打法への流れが進み、2軸理論を提唱したデビッド・レッドベターが、ニック・ファルド、ニック・プライスらをスウィング改造とともにメジャーでの勝利を飾らせたことで、体の回転を重視する、いわゆる「ボディターン」主体の打法へと移行してく。ウッドがメタル、チタンヘッドへと進化する時期と重なり、打点への寛容性が高まり、より出力アップできる動きを求めるようになっていった。
そして現在は、人間工学や運動力学を採り入れた、バイオメカによる高効率スウィングの研究が進んでいる。
『レッスンの匠 名著から読み解く近代プロのレッスン』は、チョイスNo.236(2021年春号)に詳しく掲載されています。