高速グリーンを制した マスターたちのパッティング術

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形は違うが“技術”は同じ。
100年前からすでに取り入れていた!
入る理由を徹底解剖。

『ガラスのグリーン”』として知られるマスターズは、パットの技術が試される トーナメントの代表格だ。そのマスターズで、ニクラスは6勝、タイガーは5勝、 ランガーも2勝をあげている。 マスターのなかのマスターともいうべき、この3人のパッティングにはいったいど んな秘密が隠されているのだろうか。森守洋コーチが『入るパット』の極意を解き明かす。

ジャック・ニクラス JACK NICKLAUS

どんな高速グリーンでも距離を合わせられる3つの極意

 距離感が整うヘッドの動きの条件を挙げてみましょう。まずは「打点が安定」すること。ヘッドが左右・上下にブレたり、フェース向きが狂わないことが大切です。次に、ヘッドが「加速しながらヒット」すること。減速しながらだと、エネルギーの伝わり方が不安定になります。そして、見落とされやすいのが「ロフトの保持」です。ロフトがストロークごとに変わると、距離感は絶対に安定しません。

ニラスの場合は「アドレスでシャフトを左右に傾けない」ことを重視。そして、右腕のピストン運動主体のストロークを心がけており「右手人差し指の第2関節がスタンスの真ん中を 指すグリップ」で、ヘッド軌道を安定させていました。ですが、3条件を満たすには「手元を左に流さない」技術が必要なのです。

タイガー・ウッズ TIGER WOODS

ヘッドを出すことを最優先した独自のパッティング術

タイガーはニクラスと違い、右手主体の「アーム式」ストロークではありません。どちらかといえば、現在主流の両肩で動かす「振り子式」のように見えますが単純な振り子式ではロングパットをピタリと止めることは難しい。


ニクラスもタイガーも「右手首の角度」は変えません。右腕とパターの一体感はそのまま、ヘッドを出しつつ、手元を左に流さない。「インパクト時にグリップエンドを軽く引き上げる」のです。グリップエンドに完全にブレーキをかけるのではなく、動きを適正に抑えることができる結果、フォローでヘッドが高く抜けるのです。
ショルダー、タップ、アーム。どの『型』にも分類できないのがタイガーのパッティングなのです。

ベルンハルト・ランガー BERNHARD LANGER

イップスを克服した『引っかけゼロ』のヘッド出し

タイガーとニクラスが実践する技術は「ヘッド出し」と呼ぶのがふさわしいでしょう。ヘッドを積極的に出す動きを採り入れることで、手元で引っぱってグリップエンドが流れることを抑え、ディロフトせずに打球の転がりを安定させることができます。

ランガーは右手でパターのグリップを左前腕に押さえつける「アームロック型」の「クロスハンド」でした。「クロスハンド」を採用しているプレーヤーの大半は「ひと絞り」の引っかけは防げる代わりに、右手の動きやフィーリングまで損なってしまい、結局はロングパットの距離感が作れていないパターンに陥っています。ランガーは距離感を作れる「ヘッド出し」を優先しつつ、引っかけない右手の使い方を考え出したのでしょう。

長尺パターの真のメリット

左手の押さえだけで3つの極意がやさしく実現

還暦を過ぎてもシニアツアーで活躍し、マスターズでも最年長予選通過を果たすほどのランガー。パッティング技術はまったく衰えていません。その要因として、長尺パターを採用して『ヘッド出し』を駆使していることが考えられます。

長尺パターは「ヘッドの重さと振り幅で距離感を合わせるもの」と考えず「右手で放るイメージを生かしてもヘッドがブレずにラインに乗せられるもの」と捉えて扱うほうがベター。「ヘッド出し」をやさしくマスターすることができるでしょう。

『レッスンの匠 高速グリーンを制したマスターたちのパッティング術』は、チョイス238号(2022年春号)に詳しく掲載されています。

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