クラブフェースの反発係数規制を打ち出している米国ゴルフ協会(USGA)が、今度はクラブの長さとヘッドサイズの上限を設定する意向を明らかにし波紋を呼んでいる。
具体的には、ヘッドサイズが385cm3以上のクラブ、長さ47インチ以上の長尺ドライバーは違反とするものだが、まだ正式決定ではなく、あくまで計画。しかし、2月19日までにメーカーや周囲の反応を聞いた後、サイズの制限については正式決定したら即施行、ルール改定を要する長さ制限については、04年1月から施行されるというからほぼ決定といってもよいだろう。
というのも、発表があったのはクリスマス休暇直前の昨年末。用品メーカーにすれば、クリスマス、新年、そして用品ショーを控え、動きが取れない中で、2月中旬にヒアリングを打ち切るというのだから、反論を許さない、いわば強引な進め方だ。
実際USGAのシニア・テクニカル・ディレクターのD・ラッジ氏は「最近急に特大サイズのヘッドが出てきたが、メーカーが予想以上に技術の限界を超える能力があることを示すもの。USGAとしては、クラブの伝統を守るために、今、行動を起こすことが必要」とやる気満々。認定済みのオーバーサイズドライバーも、認定取り消しの可能性まで否定していない。
もっともUSGAによれば、基準を超えるクラブはまだ少ないようだが、それでもスプリング効果テスト導入の際、メーカーの訴訟を恐れ、認定取り消しはないとしていたのと比べると、今回はメーカーの訴訟を受けて立つ覚悟にもとれる。
今回のヘッドサイズ制限の根拠は、ゴルフルール付属規則IIの1aにある「クラブは伝統と慣習に大幅に反する形状と構造のものであってはならない」という条項。「スプリング効果の問題のように飛距離や方向性といった性能を制限しようというものではない」(前出のラッジ氏)とし、あくまで、クラブの伝統に反するものとして突っぱねてはいるが、基本的には、クラブの性能を総合的に制限していく一環としてとらえられている。
スプリング効果のテスト導入時、違法クラブであることが、よく飛ぶ証拠として、逆にメーカーの宣伝に使われたことから、そうした逆効果を避ける必要があったのと、クラブの性能の制限というと、周囲の反発もより大きくなることを恐れたからだ。
しかし、ヘッドが大きくなると、基本的にスウィートスポットが大きくなり、その分芯でとらえられることになる。スプリング効果による飛距離制限だけでは不充分で、方向性にも制限を加える必要が出てきたということかもしれない。
一方、かねてから予想されていた通り、ボールの新テストも、今春からの導入を発表。その柱はインドア・テストレンジの導入で、試打マシーンの使用を段階的に減らしていく計画だが、注目すべきはボールの飛距離制限だ。
従来は合板ウッドドライバーで、25年前のプロの平均的なヘッドスピードで実際に打っていたが、これを現在のトッププロのヘッドスピードでチタンドライバーで打ったときのボールの初速度で測定し直そうと計画。
このため将来的には従来の飛距離制限(296.8ヤード)が伸びる可能性が出てきたが、一方でロングヒッター向けの飛距離制限が可能になりそうなのだ。
気になるのは、日本でのルールの元となっているR&Aの出方。当面USGAと歩調を合わせるようで、反発係数規制のときのような二重基準構造の混乱はなさそうだが、すでに買ってしまった人や発売したばかりのメーカーは困ったことになりそう!?
[訂正]1/8・15号バック9の福嶋晃子選手の記録を訂正致します。正しくは昨年の国内予選落ち回数は0、トップ10入り4回でした。
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