今季国内女子ツアーの日程が昨年暮れに発表された。日本経済の現況を反映してか、試合数、賞金総額とも3年ぶりのマイナスとなったが、その他にも時代の流れを象徴する動きがいくつか見られた。
今季のマネーランク対象競技は全31試合、賞金総額20億2270万円。昨年に比べそれぞれ2試合、8851万円の減に。これは99年に、前年より4試合、2億1000万円余りの大幅減になって以来のマイナスである。
だが、この事態にも日本女子プロゴルフ協会(LPGA)の樋口久子会長は、発表の席上、「現在の厳しい経済環境から考えると、来年(2002年)もこれだけ多くのスポンサーの支援を受けられ、うれしく思っています」と、内心抱えているだろう危機感を抑えて、冷静な口調であいさつした。
まず中止となったのは、昨年20回大会を終えた那須小川レディスと、歴史の浅いフリスキー大阪女子オープン、太平洋クラブレディースの3試合。新設は4月開催のプロミスレディスだが、中止の3試合はいずれもゴルフ場(経営会社)が主催あるいは共催の大会。過去、バブル期の頃は旭国際レディース、安比高原レディース、熊本中央レディス等々その種の競技が少なくなかったが、昨年ですべて姿を消すことになった。ただし、太平洋クラブは今年から3年間、日本女子プロ選手権への会場提供で、実質数千万円の開催協力を行うための中止のようだ。
「ゴルフ場主催の大会は、ゴルフの振興を始め、宣伝や集客が開催目的に掲げられていましたが、実際にはゴルフ場のステータスを高め、会員権の市場価格を引き上げる狙いの大会が多かった。事実、当時はそれで相場が上がりましたからね」と某事情通。しかし、そうした効果も今は昔。そのため那須小川も4、5年前から関係者の間では中止の可能性が囁かれていた。
新設のプロミスレディスにも、歴史の移り変わりが見られる。というのは、LPGAでは以前は、消費者金融会社のスポンサーは認めないという内規があった。だが、不景気の中で数少ない好況業種のうえ、世間の見る目も変化してきた。そこで3年前に解禁。今年、ようやく同社が名乗りを挙げたのだ。
ところが、同社は昨年まで男子の日本マッチプレーの特別協賛社(実質スポンサー)だった。「主催の日本プロゴルフ協会(PGA)さんとは、単年ごとの契約で昨年が8年目でしたがこれは異例の長さ。新たに女子競技を主催するのは、フレッシュなイメージが期待できること。女性向けにPRとコミュニケーションが図れることなどが理由です」(同社広報部)
一方、スポンサーを失ったPGAだが、財政的にスポンサーなしでの開催は厳しいのは事実。「広告代理店に任せているので詳しい状況はわかりませんが、決まるまでは落ち着かないですね」と事務局では不安感を隠せない。
ところで、樋口会長にも少なからぬ不安感がありそうだ。自身の名を冠した「樋口久子・紀文クラシック」の主催企業・紀文食品が単独主催を変更。今年から複数企業による共催を目指し、目下スポンサー探しに奔走している(12月25日現在)からだ。こちらも共催が手当てできなければ、昨年暮れ、日程発表後に2試合の中止が発表された男子ツアーの二の舞にも……。
[訂正]1/8・15号バック9の福嶋晃子選手の記録を訂正致します。正しくは昨年の国内予選落ち回数は0、トップ10入り4回でした。
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