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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 1/29号
2002年更新
ソリッドコア全盛の現在、ダンロップが
糸巻きボールを新発売、飛距離は大丈夫?
 カーボンヘッド・ドライバーに糸巻きボールといえば、もう10年も昔のレトロな組み合わせの感がある。だが、それが今、超ハイテクな組み見合わせとして生まれ変わった? 相次いで発表された懐かしの素材の背景を探った。

 まずはキャロウェイが2月に発売を予定しているカーボンヘッド・ドライバー「ビッグバーサ・C4」だが、すでに小誌折にふれて紹介しているが、カーボンの軽くて丈夫という特性を活かし、360cm3の大型ヘッドに、同社では最長の45.5インチのシャフトを装着。全体の重さは約280グラムと同サイズのチタンヘッドに比べ約20グラム軽くなっている。

 この帰ってきた新素材(?)に対するゴルファーの反応は、「はっきりと二分されます。昔を知らない若いゴルファーは、最新のハイテク素材ととらえますが、以前を知っている方からはどうして今、カーボン? と聞かれますね」(同社PR担当・松尾俊介氏)

 同社がその特性に着目し、開発に当たったのは、ERCに先駆けること6年も前。すでに各地で試打会を開いているが「マイルドな打感と安定した飛距離が魅力」という声が多いそうだ。しかし、市場に本格的に受け入れられるには「追随するメーカーが現われることが一番のカギだと思います。(かつてカーボン素材に力を入れていた)ヨネックス、プロギアあたりが乗り出してくればマーケットもできるでしょうが、ちょっと時間はかかりそうですね」というのは、用品業界に詳しい片山哲郎氏だ。

 また、今月24日に新しい構造の糸巻きボール「スリクソンHBツアー」を発売するのは、今や世界を見渡しても数少なくなった糸巻きメーカーのダンロップだ。プロV1など、ウレタン系ソリッドボールが全盛の今、なぜ再び糸巻きなのか?

「飛びの原動力となる反発性能はソリッドボールより糸巻きが優れているのですが、これまではスピンがかかりやすいために吹き上がり、飛距離をロスしていたのです」(同社広報部・藤田英明氏)

 そこで同社では、直径37ミリの大きなコアに、従来より薄い糸ゴムの層を作ることによって、その欠点を克服したという。糸ゴムの層は、従来に比べ30パーセントも薄い1.3ミリにとどまっている。

 こちらもモニターによる試打を実施しているが、「飛距離が伸びたうえに、風にも強い」という声が聞かれるそうだ。

 実は、契約の片山晋呉も昨年10月末のフィッリップモリスから使用、「これまで使っていたニューブリード・プロワウンドよりドライバーで15ヤード、フェアウェイウッドで10ヤード飛距離が伸びたという報告を受けてます」(前出・藤田氏)

 本当にそれだけ伸びるのであれば、打感の柔らかさは疑いようのない糸巻きボールだけに、回帰派も増えるはずだ。実際、今季ツアーでは片山に加え、細川和彦の使用も決定している。

 だが、前出の片山哲郎氏によれば、「ダンロップでは、ニューブリードにも糸巻きボールがありますが、糸巻きであることをあまり前面には出さずに販売していました。今回はそれを進化させたことで、糸巻きボールであることをウリにしても勝算があるとにらんでのことでしょう」と分析したうえで、新しいコンセプトで開発された糸巻きではなく、現在主流の多層構造ボールの一部を糸巻き層にしたととらえるべきだと言う。

 つまり、ソリッドに取って代わることを意図したものではなく、ユーザーのオプションを増やすことでシェア拡大に結びつけるのが狙いのようだ。

「その点では、キャロウェイのC4も同じ。このところ各メーカーは1ブランドに集中した販売を展開してきましたが、今年のキャロウェイはERCII、VFTとこのC4の3ブランドでシェアを奪うという方向に、転換したようですね」(片山氏)

 その分、モノ選びが大変になると、ユーザー側が戸惑うのか。それとも、選べる楽しさが増えたと喜ぶのだろうか。

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