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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 1/29号
2002年更新
高齢者ら対象のゴルフ場利用税軽減措置
せっかくあるのになかなか普及しない理由
 日本ゴルフ協会(JGA)を中心に推進しているゴルフ場利用税減免運動は、来年度の実現も叶わぬ運びとなったが、JGAでは今後も多方面に同税の減免を働きかけていく。その運動の一環として昨年、初めて全国のゴルフ場に対し、すでに施行されている「ゴルフ場利用税軽減措置」の実施状況を調査、先頃その結果を発表した。

「ゴルフ場利用税軽減措置」とは、同税の管轄である総務省が「身障者」「課外活動の学生・生徒・教員」「65歳もしくは70歳以上の高齢者」「国体等の指定競技大会等の参加選手」のプレーについては、ゴルフ場がグリーンフィを2割以上割引いて受け入れた場合、「利用税の税率を2分の1の率にすることが適当」と各自治体に通達したことによる同税の割引措置だ。これにより、該当者のグリーンフィを2割以上安く設定した場合には800円(標準課税)の利用税なら400円ですむのだ。

 そこで昨年、どれくらい活用されているものなのかを調べるために、JGAが平成12年度分の実施状況を全国の2319コースに問い合わせたところ、1346コースから有効回答が寄せられ、そのうちの948コース(70.4パーセント)が実施しているとの答えを得た。さらに、実施コースに対し、その内容と延べ利用人数を調査すると、うち708コースから回答が戻ってきた。それによると(重複回答)、「身障者」に対する税軽減を実施したのが131コースで、延べ9162人(以下同)。「生徒・学生・教員」が197コースで、4万8444人。「高齢者」が426コースで、96万643人。「国体等選手」が121コースで、3万7598人との集計結果が出た。

「ただし、この数字は回答のあったゴルフ場だけの実施状況。軽減措置の実態はもっと多いはずです」(JGA)。

 あくまで一部としても、注目されるのは、最も適用者が多く、当然すべてのゴルフ場でプレーされていると思われる「高齢者」についてである。実施した426コースという数は、回答のあった708コースの約6割どまり。また、96万人余りという延べ利用者数も、全ゴルフ場利用者のわずか1パーセントあまり。この数字は高齢者ゴルファーの実数のごく一部に過ぎない。

 高齢者が安くプレーできるせっかくのいい特別措置にもかかわらず、なぜこれほど利用コース、利用者が少ないのだろうか。

 実施しているのが25コースと比較的多い福岡県で、実際に多くの高齢者割引を行っている某ゴルフ場の支配人は、「とにかく20パーセント以上割引かなければならないことが最大のネック」と断ったうえで、利用者を増やすには、同措置を知らせるための長い時間と継続的な営業努力が必要だと語る。

 ゴルフ場としては、この制度により、多くの高齢者に利用してもらえれば効果も出るのだが、もともとグリーンフィを20パーセントオフにしなければならない、利益の出ない制度。そのために経費をかけた広報活動はできない。

「今はどのゴルフ場も、ギリギリまで経費を節減している時代ですからね」(同支配人)結局、同措置の利用者を増やすには、コツコツと口コミで広げていくしかないのである。

 同じく、23カ所と実施コースの多い福島県の中でも、年間2100人以上の高齢者割引を行っている会津磐梯CCの吉田憲蔵支配人は、「20パーセント割引いた分を、カバーするだけの利用者の増加があればいいんでしょうが……」と、ゴルフ場の立場の難しさを代弁する。つまり、せっかくの措置も実施に当たってはゴルフ場に大きな負担をかけざるを得ないのである。

「ジュニアと高齢者に対しては、プレーフィの割引のあるなしに関係なく無条件に、しかも軽減でなく無税にすれば、ゴルフ場の負担も少なくなるし、たぶん利用者に知られるスピードも速くなるので、利用者数も伸びると思うんですけどね」

 仏造って魂入れず------せっかくの制度も、実情に沿わない条件がある限り広まらない。それよりいっそ廃止されれば、あれこれ悩まずにすむのだが……。

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