週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
トゥルーン・ゴルフ(本社・米アリゾナ州、デーマ・ガーマニー社長兼CEO)は、90年の創立と歴史は浅いが、現在、世界で118コースを運営するゴルフ場の運営管理専門会社。全英オープン開催のターンベリーやアリゾナのトゥルーンノース、また米・ゴルフダイジェスト社が選ぶ全米トップ100コースのうち7コースを運営していることでも知られている。 すでに日本でも、昨年5月から千葉県のオークビレッヂGCの運営を受託しており、今回のフェニックス系列4コースも、同様に日本法人のトゥルーン・ゴルフジャパンLLC(瀧田一信・日本代表)が運営に当たることになった。 「フェニックスの運営に関しては、まだ具体的なことを話せる段階にはないが、ゴルフ界の4つ星、5つ星のゴルフ場運営としていくという社の方針に沿ったもの。コースのクオリティも高く、また我々のノウハウをもってして、新しい付加価値を提供できると考えている」(同社広報・佐藤一郎氏) オークビレッヂGCについても、入場者や売り上げ等の数字を発表できる段階にはないとしながらも、「新たにゴルフアカデミーを展開するなど、数字は飛躍的に伸びていることは確か」(佐藤氏)と、日本における順調な滑り出しを強調する。 世界約320コースを展開、運営会社としては世界最大手のアメリカン・ゴルフコーポレーション(以下AGC)も、昨年7月から麻生CC(茨城県)を、日本第1号として受託運営を始めている。 「もう黙っていて客が来る時代ではない。運営そのものをプロに任せ、ゴルフ場をあらゆる情報発信の基地に変えていけたらと考えている」とは、同CCの親会社・兼松の事業開発本部長で、経営会社の麻生観光開発(株)の代表取締役も務める明星(あけぼし)隆社長だ。 すでに副支配人以下、AGCから2名をコースに派遣、また従業員にもAGCの研修を施し、「とにかく従業員の顔つきが変わった。事業年度内の運営委託で、まだ目に見える変化はないが、4月以降の来年度からは、メンバーや来場者に高品質のサービスをすでに用意している」(明星社長)とする。 さて、とかく外資というと、日本のコースを買い漁る印象があり、そのため転売の噂も囁かれるが、トゥルーン、AGCの運営会社2社が強調するのは、「日本に腰を落ち着けての長期戦略」というもの。この点、AGCの村島敏充日本代表は、「我々がイギリスに進出した93年には“ヤンキーがゴルフの本場にやってきた”と揶揄されたものだが、その後の実績を見て頂きたい。日本でも、日本の事情に合ったゴルフ文化を提唱し、また創り上げていく、長期的なビジネスと考えている」と語る。 いずれにせよ、世界的に実績のあるこれらの運営会社が、日本の特殊な環境下において、どう運営していくのか注目される。 一方、昨年11月、ゴールドマン・サックス(以下GS)が全株を取得、正式にGSグループに入った日東興業では、昨年暮れに役員を改選。会員の代表的立場として社長となっていた田中健夫氏は特別顧問に退き、内部から鎌田隆介取締役が代表取締役社長に昇格、GSから役員も派遣されたが、基本的には日東興業グループの経営方針を継承する姿勢を具体的に示す役員人事となった。 そもそも買収先がGSに決定した際も、運営の継続、従業員の引継ぎは日東興業側の要望で、GSグループも国内30コースを展開してきた日東興業の運営ノウハウを高く評価してきたとされている。そのため今後、GSと提携を発表しているあさひ銀行の不良債権化したゴルフ場案件について、日東興業が運営会社として参画する可能性もすでに取り沙汰され始めた。 いずれにせよ、国内外のゴルフ場運営会社の積極的参入が刺激を与え、ゴルフ場全体のサービスの向上へとつながってくれるとありがたいのだが。