週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
というのは、日本プロ選手権の今年の会場となるKOMAカントリークラブ(奈良県)では、会員約1500名中、約7割が在日韓国人ということもあり、サッカーの日韓共催ワールドカップ開催年に、両国の親善を目的として98年に決定しているが、一昨年12月、事実上の親会社である、在日韓国人系の信用組合、関西興銀が経営破綻。その余波を受け、昨年4月、経営会社であるコマ開発(株)が民事再生法を申請した。これに反発する会員有志が守る会を発足、6月には旧経営陣の総退陣を求め、10月には旧役員を相手に総額約30億円の株主代表訴訟も起こされている。 昨年12月12日、債権者集会が開かれ、民事再生法に基づく再生計画案の賛否が問われた。計画には日本プロの開催は条件にないが、会社側は今後の経営方針として、日本プロ開催により新規来場者の獲得に努めると会員には明言している。そのため債権者集会の行方が注目されたが、債権額において条件をわずか3パーセント上回る、53パーセントの賛成でなんとか可決された。 これに対抗する形で、守る会は、翌日に大阪地裁に独自の会社更生法計画を提出したが、21日に地裁から棄却されたため、とりあえず民事再生法による再建が決定した。 「民事再生が確定した以上、日本プロ開催については、我々は協力もしなければ妨害もしない、という立場。しかし経営責任を曖昧にしたままで再生はままならないし、また日本プロを開催しても会員の利益にはならない。我々としてはあらゆる方法で、経営責任を追及する」とは、約400人の会員で構成する、守る会の幹部。 すでに関西興銀のコマ開発への数10億円の融資について、捜査当局が関西興銀の旧経営陣らを背任容疑で立件する方針を固めたとの報道もあり、今後の捜査の進展次第では、日本プロ開催も危ういのではと、その影響も取り沙汰されているのだ。 ちなみに可決された民事再生計画では、退会者は預託金の95パーセントカットという厳しいもの。当然会員からは「巨額の経費をかけて日本プロを開催するくらいなら、債権者への弁済率を上げるべき」との声があるのも事実。 この点についてPGAでは、「日本プロは、PGAが音頭をとり、協賛会社を募り資金を集めて開催している大会。もちろん開催コースとして経費かかるのは事実ですが、優勝賞金などすべての経費を負担するわけではありません。いずれにせよ日本プロは、予定通り開催する方向で進んでおり、なんら問題はありません」(PGA広報・斉藤正久氏) もうひとつの日本プロマッチプレー、こちらも和議再建中のニドムクラシックC(北海道)が会場というのも皮肉といえば皮肉な話。しかも今年は、実質スポンサーである特別協賛社を8年間続けたプロミスが、降りるという厳しい現実に直面してしまった。現時点でプロミスに替わるスポンサーも決定していないため、財政的にもスポンサーなしでの開催は困難だと、一部で中止の噂も聞かれた。 ところが、PGA側では「まったくの誤解で、中止はあり得ません。というのも日本プロマッチプレーは、PGAが広告代理店と契約して主催する大会。特別協賛社をつけるのか、複数の協賛社を募るのか、その方法については広告代理店に任せており、(冠がなくても)開催することは契約上、間違いありません」(前出・斉藤氏) つまり冠がつくか、潤沢な資金を集めるかは、広告代理店次第ということ。ただ、事実上のスポンサーである特別協賛社がつかないとなると、今年はともかく、来年以降の開催に影響が出るのは必至だろう。 それにしても、JGTOとの分裂後、2試合だけになったPGA主催の権威ある公式戦が、いずれもこんな噂が流れるようになるとは、何ともツイてないというべきか……。無事、開催されることを祈るばかりである。