週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
1月17日現在で、B&B社は正式な引受契約に向け、引受にあたっての調査や査定を実施中で、正確には第一交渉権を獲得したという立場。その結果、問題がなければ正式契約となる。 この破産はもともと住友生命の子会社のスミセイリースから抵当権を譲り受けたローンスターグループのファンドが申立てたもの。ローンスターも自ら入札に参加したが、第一交渉権をB&Bにさらわれた格好だ。 関越開発は、破産管財人の山森一郎弁護士が、少しでもコースの商品価値を高めて高く売るために“倒産記念コンペ”の開催を企画したり、インターネットでコースの引受手探しを呼びかけたりと、型破りな活動を展開したことで話題になった。 その甲斐あってか、国内、外資など複数の引受申し込みがあり「二度と破産にならないよう、ある程度資力があり、かつ買収金額も高いところとしてB&Bを選んだが、地元の藤岡商工会議所会頭の賛助協力を取り付けていたことも評価につながった。全国でも商工会議所が営業協力の形で協賛に入るのは初のケース」(山森弁護士)。 「もともとこのコースには商工会議所の関係者も多数入会しており、以前から地域のコミュニティとして利用していた。当初は会員による買収も考えていたようだが、金額面で断念したらしい。紹介者がいたため、営業や集客面等で地元に強い商工会議所とのジョイントが可能になった」(B&B社、不動産投資部門統括責任者・佐藤伸弥氏)。 外資が地元とのジョイントを選択したというのも異例だが、「我々は世界的な大規模ファンドと違い、日本での投資については裁量の余地が大きい。その分日本の事情に合う方法を選択できる」(同佐藤氏)という。 ゴルフ場への投資はJクラブ霞ヶ浦に続いて今回で2件目になるが、「ゴルフ場は幅広い投資対象のひとつにすぎないので、今後何年間で何コース、などという考え方はまったく持っていない。いい案件があったら検討して投資していく」というから、“地元ジョイント作戦”を積極的に展開する計画はなさそうだ。 また、今回は破産管財人が会員のプレー権保護を買収の条件にしていたため、年会費さえ払えば会員は追徴金なしで引き続きプレーできることに。現在、プレー継続の意志を約5000人の会員に確認中だ。 ゴルフ場経営会社が続々と民事再生の申立に走る昨今、プレー権の保護を前提にコースの引受先を探す、という形はほぼ定着した。そのためか“倒産”しても会員も以前ほど動揺しないケースが増えてきているが、今回は破産しても追徴金なしでプレー権が守られるところまできたというわけだ。 現在の厳しいゴルフ場経営状況からすると、買収する側も集客面を考えると、既存会員に在籍してもらったほうが得。そんな思惑が“プレー権保護”の追い風になっているようだが、景気が回復、利用者が増えると、今のようにプレー権を認め続けてくれるかはわからない。しかし、幸か不幸か景気回復の兆しは見えず、ことプレー権の保証に関していえば、会員には追い風が吹き続きそうだ。