週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
LPGAが今回企画した「ゴルフ体験講習会」は、PGAなどが行っているジュニア向けのレッスン会やゴルフスクールとは中身が大きく異なる。PGAでは、ゴルフ場もしくは練習場を会場に、実際の用具を使ってゴルフを教えるのに対し、今回のLPGAの体験講習会では「スナッグゴルフ」と呼ばれるビギナー用練習用具が使われる。 スナッグゴルフはプラスチック製のクラブとパター、それにテニスボールをひと回り小さくしたゴム製ボールをマットの上から打つ練習用具。まったくの初心者のためにアメリカで開発されたもので、1セット2万2000~2万3000円となかなか高価なもの。 LPGAではこれを30~40セット用意、目下自治体を中心に、小学生にゴルフを体験させる「講習会」開催を提案している。「今年4月から公立学校が完全週休2日になるのに合わせて、各自治体の教育委員会に従来行ってきたスポーツ振興事業や青少年育成事業の充実や拡充をはかる動きがあるんです。ところが、そうした自治体には新たな企画のノウハウ不足に困っているところが少なくないと聞いています」(LPGAインストラクター委員会) その一方で、LPGAはかねてからジュニアへの普及活動を模索していたが、施設使用の問題や広報(募集活動)がネックになり、積極的展開をできずにいた。つまり、ソフトを持たない自治体と、ハードを持たないLPGAが手に手をとって、ゴルフという自立心とマナー、ならびに体力が身につけられるスポーツを教えようじゃないか、という企画なのである。 同講習会は、危険性のない用具を使用するので、体育館やグラウンド、サッカー場など、どの自治体にもあるスポーツ施設を使用。受講者30人につき、ティーチングプロ2人を派遣して実施する。なお、その派遣料は自治体からの補助金の範囲内とする。 LPGAとしては、とにかくティーチングプロの存在と活動を一般に知らしめ、かつジュニア指導のノウハウを蓄積することが目的で、収益が目的ではないからだ。 自治体にとってはいわば「渡りに船」の企画提案のはずだが、売り込みは苦戦中という。「自治体の担当者がゴルフに理解がない場合、企画を提案する前に、例えばゴルフは危険というようなイメージだけで断られるんです」(同委員会担当職員) この苦戦を見て、先輩格に当たるPGAは、「時間をかけて地道に広報していくしかないんですよ」(PGA事業企画委員会)と語る。 PGAではこの春休みにも「親と子&シニアゴルフレッスン会」を全国30~40会場で実施。また、JGAと協力して開催する「ジュニアゴルフスクール」も春季・夏季合計で、約100会場で開催する。昨年は前者に700人、後者に2000人もの受講者を集め、年々着実に浸透しているという。 「PGAでも以前に自治体の教育委員会に直接スクールの開催を提案したことがありましたが、担当者がゴルフを正しく理解していないときには、金持ちのスポーツという理由で門前払いの状態でした」(前出・同委員会)とかつてを振り返る。 現在の規模まで拡大できたのは、結局は練習場などで一般にレッスンするプロたちの日頃の地道なPRのおかげだという。しかし、女性ティーチングプロの必要性は疑いようがない。とくに初心者への指導は、女性の方が向いているのかも……。多難を承知で漕ぎ出したLPGAの船出を応援してあげたい。