週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
といってもこの大会、実は昨年まで「全国高校ゴルフ選手権春季大会・中学生大会」という名称で開催されており、すでに21回の歴史を重ねており、毎回韓国のジュニア12人を招待し、これまでもパク・セリやハン・ヒーウォンといった、今や米ツアーで活躍する韓国選手のほとんどが複数回出場し、日本の有力ジュニアと競い合っている。 ところが、その主催者が資金面の問題などを理由に、今年から韓国ジュニアの招待を中止する方針を打ち出した。それでは長い間続いてきた日韓ジュニアの交流が途絶えてしまう。また、世界的に台頭が目立つ韓国選手と競い合う機会を失うことは、国内ジュニアにとってもマイナスだ。そんな事態に危機感を覚えたのがゴルフ用品小売りのコトブキゴルフだった。 同社では今年からスポンサーとなり、競技形式をこれまでの個人戦から中高生で男女各6名ずつの対抗戦に変え、新たに「第1回日韓対抗中学・高校生ゴルフ選手権大会」として存続させることにし、今年はファイブエイトGC(栃木県)で、4月3日~5日の3日間競技で開催される。 「当然、継続して応援していくつもりです」という同社の安本昌煥社長は、この大会をきっかけに、欧米に水を開けられている日韓のレベルを引き上げ、ともにアジア地区のリーダー役となって同地区へのゴルフ普及を図りながら、日韓親善をより一層深めたいと抱負を語る。 「費用負担? ウン百万円としかいえませんが、うちとしては決して小さな負担ではありません。本来、こうした事業は公的な機関、団体が主催し、国も応援すべきもの。ところが、国は逆にジュニア選手からも利用税を取っているんだから。このままでは、いずれ韓国だけじゃなく、アジア諸国にも追い越されるかも知れませんよ」と安本社長の行政を相手した怒りのボルテージは上がる一方。 実際、ある調査によれば高校ゴルフ部に所属する選手の数は、10年余前のバブル期には8000人ほどいたが、2000年には4500人ほどに減っているという。安本社長が抱く危機感は当然といえる。 この勢いに気圧されたわけでもないだろうが、開催が決まると、今年が日韓の国民交流年に当たることもあり、今大会には外務省、文部科学省など両国の政府機関が後援。競技に先立ち両国関係者にプロも加えての親善大会も企画されている。今年の日韓親善大使である藤原紀香の出場の可能性もあるそうだ。「開催決定後、次第に事が大きくなっていくので、警備のこともありますし、我々の緊張感も高まってきました」と、期待半分不安半分で語るのはファイブエイトGCの阿部副支配人。同コースは丸山茂樹プロの父・護氏が経営するゴルフ場で、ジュニアを格安料金でプレーさせるなど、もともとジュニア支援に熱心なコースでもある。 「これを機会に、ジュニアに対する環境の不備が知られ、改善されればいいと思います」(安本社長)とにかく、実りある大会にしたいものだ。