週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
総務省が発表した01年の全国の消費者物価指数(2000年を100とする)は、全体では99.2と史上初、3年連続の前年比マイナスとなった。確かに統計品目の下落率をみるとノート型パソコンの38パーセントを筆頭に、ファックス電話機の16.1パーセント、そして平日半額が話題となったハンバーガーの10.1パーセントと、大幅に安くなった品目が並ぶ。 他にも、ユニクロに代表される衣料品や宿泊代を含む教養娯楽費、マイラインが始まった通信費など、確かな値下げを実感できる品目が目白押しである。 そして、その中にゴルフのプレー料金が顔を出していた。しかも、サービス品目では「ハンバーガー」「固定電話通信費(7.8パーセント減)」「牛丼(7.6パーセント減)」に次ぐ第4位にランク、前年比7.2パーセント減となっている。実はプレー料金の値下げは4年連続で、98年の前年比マイナス1.1パーセントから、99年同4.2パーセント、00年同3.8パーセント、そして今回の7.2パーセントで、昨年は値下げの加速度を一気に早めた感がある。 料金値引きについては、2~3年も前から「もう限界、さすがに下げ止まる頃だろう」という声が多かったにもかかわらず、一層の値下がりが起きている。現場の苦悩は容易に想像できるし、その悪い影響(経費削減によるコース管理の不備など)はいずれゴルファーにも、と考えられる。 だが、日本ゴルフ場総合研究所の降旗貞夫専務理事は、「この傾向はまだあと5年は続く」と分析。同氏によれば、日本のゴルフ場はまだまだ割高だという。例えば、昨年6月に内閣府から発表された内外価格差調査結果によれば、東京のプレー料金は1万4700円なのに比べ、ニューヨーク、ロンドンはそれぞれ2800円余、3700円余と4~5倍も高い。 同じ労働集約型サービスの理髪代が両都市の5割増程度であることを考えると、もっと下がって当然との判断である。そのコストカットの対象は人件費。売上げに占める人件費の割合は、キャディ制のコースの場合、平均すれば50パーセントを超えている。降旗氏は、「アメリカのゴルフ場のように、キャディ制を廃止し、社員も極力抑え、人件費率を30パーセント台に落とし、社員1人あたりの売上高を年間1100万円以上にしなければ、将来に渡っての黒字体質にはならない」と語る。 実際、同研究所がコンサルタントする北海道の某ゴルフ場へは、現在110余人いる社員を12名にまで削減する大胆なリストラを提案しているそうだ。そして、少人数での運営をサービスの低下として否定するのでなければ「10年後には低料金化により、ゴルフが真の大衆スポーツ、生涯スポーツとして定着する時代がやってくる」という予測を同研究所では立てている。 ゴルファーとしては、それに至る途中のゴルフ場運営の混乱がないことを願いたいが……。