週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
「とにかく初優勝して、皆が僕のことをバークデール(98年の全英の会場)だけで覚えているというような状況を変えたかった。でも、これまでの多くの予選落ちは、今日のこの瞬間のための準備だったと思う」と、1月中旬、欧州ツアーのダンヒル選手権でツアー初Vを飾った際に語ったが、その興奮も冷めやらぬ中、今度は南アフリカツアーのナシュア・マスターズ(2月7日~10日)に優勝、実力が本物であることを証明したのだ。 しかも、ダンヒル選手権では、昨年の欧州ツアー賞金王のR・グーセンやE・エルスらを破っての勝利。実は昨年もダンヒル選手権では、同じ年齢のA・スコットと優勝争いをして2位になったが、ここ1~2年で着実に実力を蓄えてきていたのだ。 「いろんなことがあったけど、自分の才能を信じ続けていた。そして両親のサポートが、あの連続予選落ちの日々の中で、本当に自分の助けになった。でも自分の才能に対する疑いは持ったことがない。いつか勝てると思っていた」(ローズ)と、苦労はあったにせよ、一部から漏れていた17歳でのプロ入りに対する批判を実力で否定したのだ。 こうなると、同様の批判の声もある高校生プロ、17歳のT・トライオンに対する見方も随分変わってくる。確かに、ローズの初優勝までには3年半の時間がかかったが、もし98年にプロ入りしていなければ、今の実力を身につけることもなかったかもしれないからだ。 ローズは98年からトライオンやC・ハウエルと並んでD・レッドベターのコーチを受けているが、ある意味では、プロ入りしたことで、最高のレッスンやクラブなどを手に入れることができるようになっている。トライオンにしても、推定年間100万ドルの用品契約を結び、その資金を元に、最高のコーチ陣をバックに実力を伸ばすことができた。トライオンの初優勝には、まだ時間がかかるかもしれないが、少なくとも大学などで間違ったコーチを受けて、才能が潰される心配は少なくなったともいえる。 M・クーチャーが指摘するように、高校生が大金を手にしたり、ゴルフ漬けになって、他の才能を開かせるチャンスを失うといった批判があるが、その是非はともかく、タイガーにしろ、その才能を開花させたのは、プロ入り後に、チームタイガーといわれるスタッフを抱えるようになってから。それを考えれば、少なくとも有望な若手選手たちにも、早い時期にその才能を育てるスタッフが必要ということか。そうした点でも、ローズの今季2勝の意味は少なくない。