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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。 内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。 |
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週刊ゴルフダイジェスト 3/12号 |
2002年更新 |
アル中から立ち直ったジョン・デーリー
結婚ですべてが好転、マスターズも万全!?
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ジョン・デーリーが完全復活した? しかも、以前に増してパワーアップしてしているという声すら出ているのだ。
米ツアーでの優勝こそ、94年のベルサウスクラシック以来ご無沙汰だが、今年は4試合に参戦して成績は4位に入った2回は優勝争いにも絡んでいる。昨年、欧州ツアーのBMWオープンに優勝したものの、米ツアーでは25戦して9回予選落ちということを考えれば、長いスランプから完全に抜け出たといえそうだ。
そして、何より注目すべきは、ドライバーの飛距離。昨年も、年間平均で306.7ヤード飛ばしてトップに立っているが、今年はまだ4試合とはいえ、なんと平均316.7ヤードだから驚くばかりだ。
「過去のどんなときよりも、今はゴルフが楽しい。プレッシャーもほとんどないし、誰のためでもなく、自分のためにプレーができている」と語るデーリーだが、こうした心境の変化には、いくつかの理由がある。
第一は昨年7月末に、シェリー・ミラーさん(26)と、彼自身4度目の結婚をしたこと。「彼は今幸せだと思う。予選を通る、通らないに関係なく、私は彼を愛しているし、彼もそのことを知っているから」(ミラーさん)ということで、いつものことながら「最高の妻」とデーリーが語るほどに、精神的に安定しているからだ。
そのためもあって、「まったく力が出なくなる」(デーリー)抗鬱剤の使用も昨年から止めているし、アルコールもここ1年以上も飲んでいないとか。
もともと抗鬱剤は、アルコール中毒の治療のためもあって飲んでいたもので、スランプの元凶はそのアルコールとギャンブルにあった。というより、酒とギャンブルで、夫婦仲がおかしくなり、そのために精神的に安定できずに、悪い方、悪い方に転がり落ちていったのだが、再婚によって、すべてがプラス方向に回転し始めたようなのだ。
アルコールについては、「まったく止めたわけではなく、ビールの2~3本は飲めると思っていたほうが気が楽」ということだし、ギャンブルについても「カジノのプロアマなどに出場して、そこで稼いだ金だけを使うようにしている。以前はカジノから借金をし、貯金に手をつけていたりしていたが、そういう無理はしなくなった」とかで、自己コントロールができるようになっているのだ。
もっとも、「タバコとセックスについては、一度も止めようと思ったことがない」と公言しているのはデーリーらしいが、それもあって、今回の再婚が立ち直りのきっかけを与えたものと見られている。
となるとゴルフにも欲が出始め、今年は「ワールドランキングを上げるためにはいろんなツアーに出たほうがいい」と、160ドルのメンバーシップフィを支払い、欧州ツアーのメンバーにまでなっているのだ。昨年は、わずか1年で、ワールドランキングで507位から51位へと一気にゴボウ抜きしたが、マスターズ出場の50位以内にはわずかに及ばなかったことから、それがデーリーの目標のひとつになっていたのだ。
マスターズ出場に関しては2月20日現在で、ワールドランクが40位であることからほぼ確定している。考えてみれば、デーリーが全米プロ、全英オープンのメジャーに勝ったのも結婚直後のこと。となれば、コース改造で距離が伸びた今年のマスターズあたりは、デーリーが大穴になる可能性もありそうだ。
いずれにしろ、アルコール問題で、メジャーなスポンサーから見離されていたデーリーだが、アクシネット社のゴルフボールマーケティング副社長のG・サイン氏が「ここ数年、彼と面と向かって何度も接して話をしてきたが、彼のゴルフ、人生に対する姿勢が非常に前向きになったことを確信しているし、彼にもう一度チャンスを与えたいと思った」と語るように、これまでのシューズ、グローブ等の契約に加え、今年から3年間、アクシネット社のピナクルボールの販促契約を結び、テレビCMに出演するなど、すべてが追い風に変わりつつあるのだ。
前妻たちや子供への慰謝料、養育費が、年間26万ドルにも達するという話も耳にするが、そんなプレッシャーなど微塵も感じさせない今のデーリー。米ゴルフワールド誌の「もしマスターズの最終日、タイガーとデーリーが優勝争いしたら、どちらを応援するか?」とのアンケートで、87パーセントがデーリーを応援するという結果が出たとか。人気、飛距離でタイガーに勝てる選手はデーリーしかいない。今年のメジャーはデーリーから目が離せない!?
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