ゴルフダイジェスト出版案内> BACK9
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 3/26号
2002年更新
将来、マスターズでは専用ボール使用も?
コース大改造したオーガスタの爆弾発言
 米国ゴルフ協会(USGA)がスプリング効果に続いて、ヘッドサイズ、長尺クラブの規制を計画する中で、オーガスタナショナルGCのフーティ・ジョンソン会長が、USGAへの援護射撃ともとれる爆弾発言をし、米ゴルフ界で波紋を呼んでいる。

「過去数年間に見られたような、技術の進歩が今後数年間にも見られるようなら、私たちはマスターズの試合では、ゴルフ用品の制限を考えざるをえなくなるだろう」というジョンソン会長の言葉が、その爆弾発言だ。

 USGAが、メーカーからの圧力の中で、用品に対する思い切った制限が困難になっている状況の中で、1ゴルフクラブの招待試合という体裁を取るマスターズでなら、こうした制限も実現可能ということで、話題が大きくなっている。

 オーガスタナショナルは、昨年大改造をし、ヤーデージを285ヤードも伸ばし、今年のマスターズは全長7270ヤードで戦われることになっているが、「ゴルフコースは、過去数年間のテクノロジーの変化に対応できなくなっているが、もうこれ以上のコース改造は行わないだろう」(前出・ジョンソン会長)とし、これ以上改造の余地はほとんどないことを示唆している。

 実際、今回の改造は、昨年のマスターズ以前に決まっていたが、ウッズら飛ばし屋たちが、パー4のホールで、楽々ウェッジで寄せてくるのを見て「当初の計画以上のコース拡張をせざる得なかった」ということで、今回、目一杯の距離延長をすでにやってしまったというわけだ。

 USGAが、用品の制限を行い、ゴルファーの飛距離を抑えるには、どうしても限界がある。というのは、飛距離が大幅に伸びているのは、ツアープロの世界だけの話で、用品に制限を加えようとすると、メーカーサイドから訴訟を含めて、猛反発を招くからだ。

 では、プロだけに制限を加えるという意味でいくと、T・フィンチェム・コミッショナーが時折ほのめかしているようにPGAツアーが独自の用品規定を作るということも考えられないではないが、現実には動きが取れないのが現状だ。というのも、メーカーからの訴訟に加え、ツアープロたちがメーカーに縛られていることから、メーカーの意向に反対することを表立ってできないからだ。

 そうした意味では、各トーナメントの主催者が、ローカルルールとして、用品を制限するというのは、ある意味では抜け道として考えられる手段だ。それだけに、今回の発言には、こんな手もあったのか、といった驚きの声があり、マスターズに止まらず、ゴルフ界全体に波紋を投げかけている。

 実際に、マスターズが将来、どんな用品制限を持ち出してくるかについては、ジョンソン会長も口をつぐんでいる。しかし、J・二クラス、A・パーマーといった大御所が、ボールの種類を一定のものにしてはどうかといった提案をしているとも伝えられ、あるいは糸巻きボールに限るといった制限が出てくるのでは、といった憶測も流れている。

 G・ノーマンに言わせると、「ジョンソン会長が、ボールメーカー各社を呼びつけて、『お宅の契約プロをマスターズでプレーさせたかったら、この方法でボールを作って、選手に渡してもらって』と言えば済む話だ」ということになる。

 T・ウッズ対策とも言われる昨年のコース改造、そして今回の提案だが、ウッズに言わせれば「今の大学や高校には、僕より飛ばすプレーヤーがゴロゴロいる。今回の改造は、そうした未来の選手たちへの対策」ということになる。

 いずれにせよ、この用品制限が実現することになれば、米国での環境に慣れるだけでも大変な日本人選手にとっては、その上、マスターズ用のボール、あるいは用品にも慣れなければならないことになり、念願のマスターズ優勝はますます遠い存在になりそうだ。

バックナンバー

最新号はこちら

週刊ゴルフダイジェスト最新号

アクセスランキング

  • 月刊GD
  • チョイス
  • みんなのゴルフダイジェスト
ゴルフ会員権情報
ゴルフダイジェストの会員権情報です