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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 3/26号
2002年更新
JGTOが超法規的措置、ツアー登録ない
古市忠夫が実績買われ静岡OPに推薦で出場
 “還暦ルーキー”の出場に国内ツアーが揺れている。開幕第2戦となるダイドードリンコ静岡オープン(3月21~24日、静岡CC浜岡C)に、本誌連載『忙中カーン!』でお馴染みの古市忠夫(62)の出場が決定。古市は「天にも昇らん気持ち」と大喜びだが、ツアープレーヤーではない古市が推薦を得、自ら選んだとはいえかつての怪物・川岸良兼がマンデーから出場することと対比され、賛否両論が噴き出している。

「マスターズの招待状をもらったような、メジャーに出るような気持ちですわ」と、古市は開口一番、出場の喜びを語った。出場申込書が手元に届いて出場決定を知り、即座に主催者に礼状をしたためたという。「憧れの選手と同じ土俵で戦える。プロでなくてもゴルファーなら誰でも描く夢ですわ」

 阪神・淡路大震災の被害から立ち直り、自身のことは後回しにして町の復興に奔走した男は、今でも続いている町づくりのために、プロゴルファーとして以上に忙しい日々を送っている。そんな折に届いたレギュラーツアー初出場という嬉しい知らせ。だが、ここに至るまでには紆余曲折があった。

 古市は一昨年、60歳でプロテストに合格、PGA(日本プロゴルフ協会)の会員ではあるのだが、ツアーを取り仕切る日本ゴルフツアー機構(JGTO)のクオリファイトーナメント(QT)を受験していないためツアープレーヤーではない。そのため主催者推薦を受ける資格がない古市のケースでは、ツアー規定第13条(2)の主催者選考の内訳の中に規定される、いわゆる特例の「運営委員会が認めた者」というカテゴリーを使わざるを得なかったのである。

 主催者側から推薦の旨が出されてから最終的に出場が決定するまでに、ツアー関係者は「出場は無理」と漏らすなど、ツアープレーヤーでない古市の出場はハードルが高かった。だが、主催者側からの強い要望もあって、最終的には2月25日の運営委員会でゴーサインが出て、何とか出場にこぎつけたのだ。

 いくらプロであっても、QTを受けていないと原則的に主催者推薦を受けられないというこの規定、そして運営委員会での決定について、JGTOの日下敏治エグゼクティブディレクター(以下ED)は、「QTの意義というものがありますので……。規定の中にないものは運営委員会に諮ります。これまでにこのカテゴリーから出場した人のときもそうでしたが、もめた、とかいうことでなく、賛否両論よく話し合ったということ」と説明。

 結局「古市さんはこれまでの活動や(シニアツアーでの)成績がある。彼の出場でツアーが活性化してくれるなら、ということで認められました。一度認められたので、今年は計6試合までは推薦出場が認められます」(日下ED)ということだが、JGTO側はあくまでQT重視の姿勢を崩していない。

 古市に限らずPGAの会員でQTを受けていない選手には、「なるべくQTを受けてもらうよう勧めています」というが、費用(エントリーフィ21万円等)や日程の問題から受ける気のない選手も多い。

「我々も進歩して、今回のようにツアーの活性化を考え、柔軟に出場を認められるところまで来たと思ってください」(日下ED)ということだがまだまだ閉鎖感は否めない。

「QTを受けたい気持ちはあるし、実際去年も書類は取り寄せました。でも忙しいし、時間もお金もありません」と、古市はプロと町の世話役の間のジレンマに悩む。ともあれ、静岡オープンでの古市の活躍如何では、今後JGTOの推薦資格の規定も変わる可能性もなくはない。

(注)ツアープレーヤーとはセカンド以上の段階のQTに出場した選手を指し、年間6試合を上限に推薦を受けられる。そのうち、賞金ランク等のシード選手に加え、ファイナルQTの決勝進出者はツアーメンバーとなり、年間8試合まで推薦出場が可能。このいずれでもなければ原則的には主催者推薦でツアーに出ることはできない(アマチュアの場合は別)。

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