週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
そもそもこのアンケート「トーナメントをよくするために、選手が感じていることを調べ、各大会に弱いところを改善してもらおうという目的」(JGTO事務局)で91年から選手会が行ってきたもの。昨年分に関しては16試合以上出場したJGTPC(選手会)メンバーを対象にアンケートを実施。項目も年を経て多少の変遷はあるものの、(1)グリーンのコンディション、(2)コースセッティング、(3)練習場の設備、(4)クラブハウス等における食事内容、(5)各アイテムを総合し、さらに賞金総額も含めたベストトーナメント、(6)出場するトーナメントで重要視している項目、と毎年ほぼ同じ内容になっている。 VISA太平洋は総合部門のほかに、セールスポイントでもあるグリーンコンディションについてもつねに上位を保ってきた。91年こそダンロップオープン(当時)に次ぐ2位だが、翌年以降はずっと首位をキープ。だが、昨年は首位転落どころか、トップ5からも名前が消えてしまった。その裏にはこんな事情があった。 昨年は11月にワールドカップを太平洋C御殿場で開催した関係で、同コース開催のVISA太平洋の日程がいつもより約2カ月も早い9月第3週に変更された。当然、季節が違えばコンディションも異なる。昨夏の猛暑で芝が傷み、これを養生させているところを台風に襲われ、柔らかくなって芝が刈れず、ローラーもかけられない悪循環。これでは売り物の速くて硬いグリーンになどできるはずもない。 周囲から聞こえてくる声に耳を傾けると、他にも原因はある。ワールドカップ開催のためだけではないが、パー3以外を2グリーンから1グリーンに改造したことも災いした。これまでの2グリーン制なら、一般営業をサブグリーンで行い、メイングリーンを大会用にメンテナンスすることも可能だったが、グリーンの大きさをさほど変えずに1グリーンにしてしまった昨年はこれができなかった。しかもワールドカップ開催コースとなれば集客効果も半端ではなく、グリーンを仕上げるのは至難の業だったはずだ。 舞台裏ではそんな苦労が繰り広げられていたが、実際にプレーする選手にとっては、そのときのコンディションこそがすべて。そのため「例年とは違う」「コースがアンフェアだ」という声が渦巻き、それがそのままアンケート結果に反映された格好となったようだ。 昨年、同大会中にもコース批判を繰り広げた谷口徹は「去年は2カ月早かったので、とくにグリーンの芝付きがよくなくて、芝がはげて土や泥がむき出しの状態になっている部分が目立った。(柔らかいから)どんなボールもよくとまった」と低い評価を口にする。 選手会長の伊沢利光はワールドカップにも出場したこともあって事情をよく理解している。「昨年はワールドカップが11月にあるということで9月に開催されたことが大きいのでは。コースコンディションは大会の開催時期や天候によって変わるだけに良し悪しを決めるのは難しいですよね」と、選手会長らしく優等生的なコメントだ。 今年は通常の日程に戻り、11月中旬開催のVISA太平洋。時期的な問題はもうないが、ワールドカップ以降、集客が大幅にアップしたことや、以前とは違い、1グリーンで大会を迎えることになることなど不安要素は多い。“マスターズ”の冠どおりのグリーンを擁する好コンディションのトーナメントとしてトップの座に返り咲くか、それとも……。