週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
関東地区の会員権相場が上げ基調を強めている。関東地区の会員権業者で組織された関東ゴルフ会員権取引業共同組合が毎週発表する相場表(単純平均値)によれば、1月17日以来下落はなく、昨年12月6日に記録したバブル以降の最安値、215万円から、すでに252万円(3月28日)まで、率にして17.2パーセントもアップしている。 とくに3月に入ってからの上げ幅は大きく、20日には前週比10万円という最近に例のない2桁の大幅アップを記録した。 「2月中旬から明らかに、買いが売りを大きく上回っています」(同組合事務局) となると、当然気になるのが、相場の底を打ったのか、そして堅調な上昇トレンドに入ったのか、という点。さすがに今の時代、会員権購入を投資としてとらえている人はいないにしろ、プレー権目的で購入を考えている人にとっても、まだまだ下がるのなら「もうちょっと待とう」と思うのが人情だからだ。 「買いが増え、売りが極端に減ったのは事実ですが、底を打ったとは断言できません。ただし、もう一段の底があったとしても、下落幅は小さいとみています。ですから、プレー権を手に入れたいというお客さまには、大損はないでしょうからと勧めています」(同組合気配表運営委員長である東京・朝日ゴルフの田中美澄社長) どうやら堅調な上げとは断言できないようだ。それでも「3月の株価上昇がきっかけになったと思います。他にも、企業業績の回復予測の発表。そして、白っぽい洋服が増えると景気が良くなるという分析があるようですが、最近、黒に混じって白っぽい色が増えてますよね。景気回復から相場上昇に期待を込めています」とも語る。 業者が期待を込める要因は他にもある。 「単純に安くなりすぎた反動が一番の要因でしょう。実は、名門コースに対する需要は、買い時を探る感じで以前からあったんです。そこにリストラ効果なのか、業績が上がった企業からの買いが入り、上昇に転じたのにつられて、一気に売買が盛んになったと考えられます」(現代ゴルフサービス、大久保貢社長) 同氏は、他にもペイオフ解禁の影響も少しはあると言う。1000万円以上の定期預金を解約したものの、来年まで全額補償だが利子がなきに等しい普通預金に回すなら会員権でも買おうかという動きである。 ならば、今回の上げ相場をもたらしたのは、高額の名門コースが中心だったのだろうか。 「その傾向はありますね。より評価の高いコースの方が、需要が大きい。二極化とまではいえませんが、峻別が進みつつあります。少なくとも、今相場の上がっているゴルフ場は安心なコースと言えますね」(住地ゴルフ企画室長、松崎顕氏) 当たり前の話だが、今後景気が本格回復したとしても、買いが集まるのは、やはり「安心感」と「割安感」のあるコースで、相場全体が湧くわけではないようだ。しかし、そうしたコースにさえ買いが入らなかった昨年までとはムードも一変しつつある。某業界関係者は、「正直、今回の上げ相場に業者は皆色めき立っていますね」と話す。 「それでも、急激に上がり過ぎると、反動でまた下がって再度市場が冷え込むのが怖いんです。だから、声高に相場を煽れない。過去に乱高下で痛い目にあったことから学習したということでしょうか」とも。 上昇は期待するが、高騰は警戒する------顧客として、安心できる業界になっていたようだ。今後の相場の動きから目が離せなくなってきた。