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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 4/23号
2002年更新
マンデーからヒューストンOPに出場した
中村龍明は国境を超えたチャレンジャー
 先日のシェルヒューストンオープン(3月28~31日)には丸山、横尾、田中のフル参戦組に加え、スポット参戦で片山も出場。4名の日本人選手が勢ぞろいと思いきや、実はもうひとり中村龍明という謎の!? 日本人選手がマンデーを通過して出場していた。

 その謎の!? 日本人選手は、初日1アンダーと好位置に付け、この調子なら予選通過は間違いないと思われたが、2日目には82の大叩きで結果的には予選落ち。しかし、難関の米ツアーのマンデー予選を突破する実力を持つ日本人選手が思わぬところにいたものである。

 この中村龍明という選手、現在37歳で、三重県の菰野倶楽部ジャック・ニクラウスコースに籍を置きながら、南アメリカツアーを中心に武者修行中とか。それにしてもどういう経緯で現在に至ったのだろうか?

 高校時代までは甲子園を目指す球児だった中村は、あのイチローの母校でもある愛工大名電の出身。中村の先輩と後輩の代は甲子園に出場したが、自分の代だけは甲子園の土を踏めなかったそうだ。高校卒業後、ゴルフに興味を抱き、練習場研修生を経て、88年に日本のプロテストに合格。しかし、ツアー出場資格が取れなかったこともあり、海外へ目を向けたという。

 プロデビュー戦はニュージーランド。その後、豪州やアメリカのミニツアーを転戦し、一旦帰国。99年のチャレンジツアーで2位になり、翌00年はレギュラーツアーに28試合出場したが、賞金ランク106位で賞金シードにまったく手が届かず、再び闘う場を海外に求めたのだ。

 中村の海外転戦の拠点はフロリダ州オーランド。主戦場は南米ツアーだそうだが、南米ツアーに出る日本人選手は、極めて珍しく、1月はメキシコ、パナマ、グアテマラ、コスタリカといった南米中心部を回り、9月からはブラジルなど南米大陸の地域へ移る。4月は1試合しかなく、ツアーが休みの期間はアメリカのミニツアーに出場しながら、PGAツアーのマンデー予選やQスクールなど、あらゆるチャンスに挑戦しているチャレンジャーなのである。

 実際、これまで米ツアーのQスクールには4回挑戦。

「いつも第2次予選で落ちてしまう」そうだが、今秋のQスクールにも再挑戦し、「最終的にはPGAツアーでプレーしたい」と夢を膨らませている。

 PGAツアーのマンデー予選はこれまで5回挑戦し、昨年のBCオープンと今年のヒューストンオープンで出場権を得た。マンデー予選は、わずか3名~4名という狭き門を、何十人、ときには百人を超える選手たちが競い合う熾烈な戦い。そのマンデー予選で5回中2回通過という実績は大したもの。さらに、中村は全米オープン地区予選にも挑戦しており、今年も地区予選からトライするとのこと。

 話は変わるが、中村のスウィングを指導するランディ・ソニー氏は、かつてマスターズに出場したこともあるというトップアマでなんと現役パイロット。R・メディエイトのコーチでもあるそうだが、ユニークな選手とユニークなコーチの組み合わせは、まさに“類は友を呼ぶ”。

 ともあれ、これほどサバイバルを敢行している日本人選手が世界でプレーしているとは驚きである。日本のゴルフの国際化は、案外、知られざるところで着実に進んでいるのかも。

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