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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 4/30号
2002年更新
4月施行の中間法人第一号はゴルフ場、
償還対策&クラブへの意識の高まりに期待
 預託金の償還のみならず、日本における新しいクラブの概念として注目を集めていた中間法人。その第1号が兵庫県で誕生した。しかもそれがゴルフクラブとあって、業界内外から熱い視線が注がれている。

 そのゴルフ場とは、安達建設グループで観光日本(株)(安達雅克社長)の経営する美奈木ゴルフ倶楽部(兵庫県三木市)。

 会員の集まりである「みなぎの会」は4月4日、法人登記を申請、10日に完了した。これにより単なる会員の集まり(法的には『権利能力なき社団』)だった同会は、「有限中間法人・みなぎの会」として、法人格を持つことになった。

 なお、代表理事には、同GCの競技委員長である笹川浩一氏が就任。同GCのメンバー1100人のうち、中間法人化への趣旨に賛同した800名が、中間法人を構成する「社員」となっている。

 中間法人法は、小泉内閣初国会となった昨年6月に成立、この4月1日から施行されたもので、簡単にいえば町内会、同窓会、同好会など営利を目的としない団体が法人格を持てるようになり、これにより不動産など財産を所有、管理することも可能になったということだ。

 法施行を睨み、美奈木GCでは昨年春に、すでに会員の集まりである「みなぎの会」を設立。当初は、預託金の償還対策として検討が始まった。

 というのも平成元年開場の同GCは、約款に据置期間を設けなかったため、長引く不況、また阪神大震災の影響もあり、償還圧力が急増。これまでに295名の退会、約65億円の償還にも応じてきた。

 ところが、「退会者が増え、不況下で募集もままならない状況で償還に応じていけば、論理的に経営破綻せざるを得ません。実際、経営者の責任逃れ、生き残りを図ったとみられる民事再生法申請も後を絶ちません。私たちはゴルフ場と会員権を絶対に守り、またメンバーさんに負担も迷惑もかけないという経営姿勢を示すため、中間法人という新しい方法を提示させていただいたものです」(同GC・新藤三男支配人)。

 具体的には昨年6月までに、ゴルフ場施設に金融機関が設定していた抵当権を経営会社が抹消。その上で今回、中間法人となった同会が限度額150億円の根抵当権を設定するというもの。この金額は1100名の会員から預かっている預託金総額約141億円に匹敵する。これにより会社側の一方的な意思でゴルフ場施設を処分できないばかりか、経営会社に万一のことが起きた場合でも、第1抵当権者である中間法人に財産が引き継がれることにもなる。そのため、株主会員制への転換と違い、会員の債権そのものが消えることはないが、会員が個々に返還請求権を行使することはできなくなる。

「どこのゴルフ場でもそうでしょうが、会員の経営会社への疑心暗鬼が退会者の増加につながっています。中間法人にすることでまずは安心感を持っていただき、それが相場の上昇、さらに魅力あるゴルフ場づくりにもつながれば、と考えています」(同支配人)

 これまで会員の集まりであるクラブの最高決議機関=理事会は、会社側と一体であることが多かった。

 しかし、明確に法人格を持つことで、会社側と対等になり、また会員の集約された意見が経営に反映されることにもつながる。ちなみに、経営は従来通り観光日本(株)があたるが、年会費、プレーフィなどが主な収益となる。また、中間法人の会費については、発足まもないこともあり、社員1名あたり1000円を会社側が負担。

 なお一般法人の出資金にあたる300万円の基金も会社側が負担した。今後、中間法人としての活動が活発になることで生まれる様々なアイデアが、新たなゴルフ場、会員権の魅力につながってくれたらと会社側では期待している。

 さて、今回、中間法人第1号がゴルフクラブとなった点について、会員権問題に詳しい西村國彦弁護士は、「21世紀のキーワードはボランティア(奉仕)精神となる。その中で注目を集めているのが、NPO、NGOであり、中間法人です。償還問題でいえば、銀行、外資、そして早い者勝ちとばかり償還を求める一部会員に、多くのゴルフを愛する、ゴルフ場を支えている多くの会員が翻弄されてきた。中間法人の試みは、自分たちのクラブをなんとかしようという会員の意識の高まりでもあり、法的にも声なき声をクラブ運営、ゴルフ場経営に反映できる。中間法人第1号がゴルフ場から生まれたのは嬉しいことだし、日本に真のクラブが復活するきっかけになるものと期待している」。

 自分たちのクラブを自分たちの手で。ゴルフ会員権が投機商品のように扱われていたことで、そんな当たり前のことを、日本のゴルファーは忘れていたのかも知れない。

●中間法人法とは?  中間法人は「社員に共通する利益を図ることを目的とし、余剰金を社員に分配しない社団」と定義される。もともとゴルフ場関連では、全国に32ある社団法人制クラブの民営化移行の中で、受け皿として注目されていた。しかし預託金制にあっても、クラブが法人格を持つことで、運営、経営が明確に分離し、クラブの独立性を保てるようにもなるというメリットがある。

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