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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 5/7・14号
2002年更新
伝家の宝刀!? のはずだった民事再生法
債権者集会で否決される初のケース出現
 急増するゴルフ場の民事再生法申請。これまで債権者集会が開かれたケースでは、プレー権確保を条件に預託金の大幅カットを基本とする再生計画が成立してきたが、今回、あるゴルフ場が初めて否決された。否決により破産手続きに移行するが、不良債権の早期処理と、ゴルフ場の存続・会員の権利のどちらが優先されるべきか、今後、大きな争点になりそうだ。

 問題のゴルフ場は、平成12年に民事再生法を申請していた長崎県の小長井CC((株)小長井カントリー倶楽部)。書面決議で、会員を中心に債権者の92パーセントの賛成を得たものの、金融機関の賛成が得られず、3月28日、再生手続廃止が決定、これにより破産手続きに移行するのが必至となった。

 再生計画だが、会員は預託金の96パーセントカット。一般債権者についても95パーセントカットで、残額を10年で返済するという内容。また経営破綻の引き金となったホテル、居酒屋事業からはすでに撤退し、ゴルフ事業に専念する。またオーナー一族が経営から完全に退くことも条件としていたが、約26億円の債権を持つ長崎信用農業連合会の賛成を得られなかった。ちなみに負債総額は、約47億2000万円。預託金総額は10億円前後と見られる。

 同社の申請代理人で、弁護士でもある山田正彦衆議院議員(自由党)の法律事務所では「弁護士本人が金融機関に出向き、最後まで粘り強い交渉をしたが同意を得られなかった。3月末で金融機関の組織変更、人事移動と重なった影響も大きいと思う。今後は破産管財人との交渉になるだろうが、大多数の会員、地権者、地元小長井町から、ゴルフ場存続の強い要望もある。手続き廃止で我々の任務は終わったが、要請があればゴルフ場存続のためにできる限りのことはしたい」と話す。

 実は会員の中には、撤退したホテル、居酒屋といった事業拡大の失敗に、ゴルフ場が巻き添えにされたとの思いが強い。そのためか、再生手続廃止決定直後のに4月1日には、会員有志で「小長井ゴルフ場を守る会」を結成し、ゴルフ場の運営管理に乗り出した。今後、破産手続きに移行、管財人が決定すれば、会員主導でなんらかの再建ができないか交渉していく予定だ。

 不良債権の処理問題は、いわば国家的な命題。一方でゴルフ場を金融理論のみで、他の不動産のように処理できるものか、といった指摘も多い。

 実際、債権を買い取ったローンスターが民事再生法を申請した清川CC(神奈川)では、会員組織が会社更生法で対抗。株主会員制による自主再建を模索している。また、やはり旧日債銀の債権がRCC(整理回収機構)からローンスターに移った阿見GC(茨城)でも、会員組織が「ローンスターの持つ債権は簿価(約320億円)ではなく、買い取り価格(約16億円)」との論理展開で対抗。RCCの不透明な取り引きについて、阿見GCを例に昨年、国会で審議されたこともあった。いずれにしても根本的な問題は、今回のケースもそうだが、本来、会員が主役であるべきゴルフ場が、会員の知らぬところで担保提供され、不良債権として処理、取り引きされているという点だ。

 それはともかく“ゴルフ場再生法”とまで呼ばれた民事再生法は、これまで預託金問題を含む、ゴルフ場側の伝家の宝刀として利用されてきた感がある。会員にとっても破産よりはまし、また金融機関にとっても競売に付しても融資額に十分な債権回収も見込めず、まして買い手すら現れない状況では、再生計画を認めざるを得なかった、というのが実情だったのだろう。しかし今回、金融機関が会員や地権者、地元の意志を無視する形で、初の再生手続き廃止となったが、ゴルフ場の再建問題、ゴルフ場案件の不良債権処理問題に、大きな影響を与えそうだ。

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