週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
昨年まではウェブが、2位と10打差、6打差とぶっちぎって2連覇を飾っていたニチレイカップワールドレディス。今年のウェブはスウィング改造中ということもあり、本来の力を発揮できていないのは見た目にも明らかだったが、昨年までの2年間は日本選手がどうあがいても太刀打ちできなかった世界の超一流に、日本の第一人者・不動が対等に渡り合えたのは大きい。 「ウェブさんは時差ボケもあっただろうし、調子の波もいいときではなかったし……もし私が逆の立場だったら、ボロボロだったと思うし、同じ条件でやったら今回とは違う結果が出ると思います」とは、不動の優勝決定後の弁。謙虚ともとれるし、核心をついた冷静な分析とも言えるだろう。しかし、実際問題、不動自身の昨季からの成長ぶりも目を見張るものがあるのだ。 まずはドライバーの飛距離。不動は「昨年9月に新しいクラブ(Sヤード・T9)に替えてからはこんなもんです。15ヤードくらいは伸びたかな」と言うが、今季に入ってますますその飛ばしが目立つようになった。この大会期間中も、4日間同一組で回ったウェブを常にアウトドライブ、藤井かすみ、天沼知恵子といった飛ばし屋たちにもそうヒケをとらない飛距離で、初日には2つのイーグルも奪った。 「シーズンオフもいつもと変わったことはしていないし、どこか筋力の数値が上がったってこともないですよ」と不動本人は言うものの、やはりトレーニングや走り込みの積み重ねで身体がつくられてきたことは、以前より断然たくましくなった体つきに出ている。このオフから取り入れたバランスボールでのトレーニングも奏効した様子だ。 テレビ解説の小田美岐は「不動はスウィング的にも他の日本選手から頭一つ抜けた感がある」と話していたが、ラフや斜面からのアイアンショットにも明らかな成長の跡が見える。 これには「いやぁ、自分でも上手くなったのかなと思いました(笑)」と不動も照れ笑い。日本選手の中にはそうはいない「ラフからロングアイアンで高いボールが打てる」選手になっているのである。 このところ、ちょっと締まりのなかった女子ツアーの試合展開。久しぶりにハイレベルな面白いゲームを満喫できたのは、ウェブの来日効果も大きかったが、日本の女王の実力がレベルアップしたことに起因していたようだ。