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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 6/4号
2002年更新
近隣のライバルコース同士が手を組んで
会員が相互にメンバーフィでプレー可能に
 今の日本の状況ではないが、大きな変革を前にすると「総論賛成、各論反対」となりがちだ。新しいシステムの導入は、関係者に等しく影響を及ぼすのではなく、メリットを受ける側とデメリットを被る側に分けるからだ。そうしたハードルを飛び越えて、画期的な業務提携に踏み切るゴルフ場が現われ出した。

 それは近接する2~3のゴルフ場が互いの会員に対して、それぞれ会員料金、もしくは会員並みの料金で予約できる制度だ。

 まず、3コースが提携し、この4月から実施しているのが福井県の武生CC、丹生CC、フォーレスト福井GC。車で30分圏内に位置する3コースで、それぞれの会員は、ホームコース以外のゴルフ場を平日6500円、土・日・祝日1万1500円(セルフ、キャディ付きは各2000円増)の統一料金でプレーできることになった。

「ビジターフィの値下げで集客を図るのはすでに限界。それに替わる新たなサービスを考えると、ビジターフィを値下げした分、今度はメンバーさんに還元しなければということで……」(武生CC・森田晃弘支配人)

 この提携は、さらにコース管理や運営面にまで及んでいる。具体的にはキャディや管理スタッフの相互派遣、管理機械の相互利用、資材の共同購入などで、それによる効率化とコストダウンからも、顧客サービスの充実にあてたいと語る。

「2年前から3コースで考えてきたことですが、資本系列にあるゴルフ場同士ならば、親会社のリーダーシップで実施できるでしょうが、我々のようなもともと近所のライバル関係にあるゴルフ場が提携する場合、うちだけよければ……といった発想を捨てる、発想の転換が必要です」(フォーレスト福井GC・八田泉洋支配人)

 この3コースの場合、内輪で競い合っている間にも、圏内のゴルファーは隣の石川県にある人気・名門コースに流れていた。その流出を抑えるためにも、3コースの協力が必要だったようだ。しかし、それでもこうした提携の裏には「うちの会員が他所に取られるばかりになると困る」といった集客効果の不均衡に対する恐れがあったのでは?「もうそんなマイナス思考で、じっとしている場合じゃないですよ」(前出・森田支配人)

 もしそうなっても、集客が悪かったコースはそれを発奮材料に努力する。上位のコースを恨むのではなく、プラス思考で、切磋琢磨すればいいのだと語る。

 具体的な数字は不明だが、ホームコース以外でのプレーは急増。当然、会員には大歓迎されているそうだ。また、「この制度の影響で、会員権相場も、上昇とはいえませんが、下げ止まりました」(森田支配人)という効果もあった。

 また、2コースで同様の提携を実施しているのが、福島県で近接する新白河GCとグローリィヒルズGC。こちらは互いのコースをメンバーと同じ資格・料金で予約、プレーできる。「ビジターフィが安くなったため、黙っていたら、メンバーさんをヨソに取られてしまうだけです」(グローリィヒルズGC・高橋一郎支配人)

 そこを協力して、性格の全く異なる(フラットとアップダウンのあるコース)、計36ホールのゴルフ場を提供、メンバープレーの活性化を図るのが狙い。

「現在、新白河さんのメンバーさんは、休日に平均10組ほどいらしてます」(高橋支配人)

 では、逆に新白河GCへは?「それは確かめないことにしてるんですよ。数字で比較せず、曖昧なままがいいかと……」

 当面はプラス面だけ見ていくとのこと。これもこうした提携を維持するための知恵か? では、マイナス面を、当事者に代わってゴルフ場運営コンサルタントの菊地英樹氏に指摘してもらった。

「こうした新しい試みには大賛成です。不安があるとすれば、やはり“恩恵”の不均衡。それと、新しい顧客の増加と、入場者増は別ということです。つまり、互いのメンバーさんを交換するだけで、結局全体の集客増にならなかったというのでは困ります。どんなにプレーできるコースが増えても、基本はすべての顧客にいかに満足してもらえるか。この基本を外さなければ、いい結果につながるのでは……」

 小売業でいえば、豊富な品数や広い店舗は、魅力ではあっても絶対ではないということか?

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