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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 6/11号
2002年更新
日本プロで大金星挙げた久保谷、その裏に
「タイガーみたいに振れ」とのアドバイス
 久保谷健一が先日の日本プロで5年ぶりのツアー2勝目を挙げた。腰痛で「もう勝てないかも」と諦めかけた時期もあったが、「せめて練習量だけは人に負けない」と怠らなかった成果が実った。片山晋呉とのプレーオフ2ホールに競り勝ち、5年間シード権に加え、念願のメジャー・全英オープン初出場の可能性も出てきた。興奮さめやらぬ久保谷に心境を聞いた。

------プレーオフ2ホール目、バンカーショットを30センチに付ける劇的な優勝でしたね。

「ピンまで30ヤード、勝負に出たショットでした。晋呉が先に3打目をバーディチャンスにつけていて、そのときキャディが言ってくれたんです。『これ以上やってもダラダラするだけ。決めちゃえ』と。あれはそう何度もできるショットじゃない。運がありましたね。最終日は2番ホールでも20メートルくらいのスネークラインが入ったし、出足から『アレ? 今日はなんか違う』と感じてました。逆に惜しいのを外しても、普段より冷静だったし、今にして思えば、まるで筋書きがあったみたいな勝ち方だったと思います」

------今季は前週まで予選通過1回だけでしたが。

「はい、自分でも良く勝てたと思います(笑)。すべては小達さんのお陰。試合の週の月曜日に偶然、練習場で会って教えてもらったら、ショットが安定し、パットもそれまでインに引きすぎていたのを『もう2センチ、まっすぐ引くイメージに』と言われたらよくなった。小達さんからのアドバイスを試行錯誤した結果の優勝でした」

------ショットのアドバイスの内容は?

「大まかに言うと、『タイガーみたいなイメージで振れ』と(笑)。内心『そんなのできっこない』と思ってたのに、日に日にイメージがよくなって。すっかり“小達教”の信者です(笑)。本当に感謝ですね」

------最後までノンプレッシャーに見えたんですけど。

「僕は優勝争いより予選通過にプレッシャーを感じるタイプ。1円も家に持って帰れないことに恐怖を覚えるんです(笑)。優勝争いしてるってことは、すでにそこそこ稼げたってこと。さらに、プレーオフまで進めたとなれば、2位以上の賞金は確約されている。あとはもうどちらが上にいけるか楽しめばいいだけで、緊張する必要なんてない。最終日は最低3位狙いだったので、ノルマを果たした時点ですでにノンプレッシャーでした(笑)。晋呉とかジャンボさんクラスの人は皆そうじゃないかな。優勝争いで緊張してたらあんな何度も勝てないですよ」

------日本プロの大会中は、ドライバー平均飛距離でも2位(平均287ヤード)でした。

「2年前からキャロウェイ(現在はERCII)を使い始めたお陰ですね。その前は、歩けないほどの腰痛に苦しんだ時期もあり、道具で30ヤード近くも飛距離が伸ばせたことでゴルフが非常に楽になったことは確かです」

------でも、来年からUSGAと同じように高反発系ドライバーがルール違反になるとか。

「それは他の人も同じことだから気にしません。むしろ、使い出したころに『高反発だから飛ぶんだ』とみたいなことばかり言われた時期もあり、嫌な思いもしました。僕自身『高反発だから、飛ばさなくちゃ』と余計なプレッシャーで力んだりしたこともあったから、皆が使えなくなったほうがかえって気が楽になるかも」

------現在、日本予選ランク1位。全英オープンへの大きな可能性が出てきました。

「風は好きだし、僕のプレーにも合っていると思う。僕ももう30歳。そろそろ挑戦してもいい時期。絶対に行きたい。ここまで来て出られないのも、恥ずかしいですしね(笑)」

------その夢に向けて、これからどんな取り組みを?

「小達さんから伝授されたショットはまだまだ不安定。とにかく練習あるのみです。勝てなかったこの5年間は、練習量だけは人に負けないようにやってきた。今回の優勝は、そんな僕を見ててくれた神様が与えてくれた“第1ステップ”と思って、これからも練習し続けますよ」

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