週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
「男女を問わず、これまで彼女ほど学生選手権で勝ちまくった選手はいない」と言うのは、彼女を同大学にスカウトした元コーチ、T・マッコーク氏だ。このプロ転向で、結局オチョアが、大学に在籍したのは、2年だけになるが、その間大学の選手権20試合に参戦して12勝。つまり、勝率60パーセントという記録を打ちたて、しかも、この20試合中、トップ3から外れたのは、わずかに1回だけ。今年に限っていえば10戦中8勝。しかも、連勝記録ということでいえば、前人未踏の7連勝という記録まで作っているのだから、期待されるのも無理はない。 過去の記録を振り返ってみても、かつてN・ロペスが、2年間で11勝という記録を作り、あるいは、B・バートンが、1990年に新入生で、5連勝という記録を達成しているが、これもオチョアの記録には及ばない。 考えてみれば、公式戦7連勝というのは、ゴルフ界全体でも、わずかに、B・ネルソンが11連勝を達成して上回っているだけで、史上2番目の記録といえる(B・ホーガン、T・ウッズは6連勝の記録を持つ)。 確かに、学生のレベルとプロのレベルを比較するのは、間違っているかもしれない。例えば、学生時代は「女タイガー」といわれたK・キーニーも、プロ入り後、1勝しただけで、期待ほどではなかったし、ジュニア時代から華々しい記録を作ってプロ入りしたV・ゲッツ・アッカーマンもいまだに優勝できずにいる。それだけに、プロで通用するのかといった疑問の声もないではないが、その一方で、「彼女ならプロ入りしてもすぐにトップ10の選手になれるはず」(ベテランプロ、サリー・リトル)なんていう声もある。 実際、オチョアは、今年LPGAにアマチュアとして3試合出場、トップ10に2回入っているし、母国のメキシカンオープンでは、プロも交えた中で優勝している。 「女子学生選手権でのスコアは、過去数年の間に、4~5打はよくなっている。しかも、層はますます厚くなってきている。それを考えれば、オチョアは、過去最高の学生プレーヤーといえるだろう」(A・ウィークス、オクラホマ州立大学コーチ)ということで、女子学生のレベル全体が上がっており、キーニーやゲッツの時代とは異なってきているようなのだ。 数字で見ても、オチョアの学生選手権での平均ストローク数は70.73で、これは学生の最少記録だが、これをLPGAに当てはめれば、昨年の平均ストローク数ランク8位にあたる。もちろん、プロと学生の試合のコースは違うとはいえ、男子と違い、女子ツアーはそれほどコースセッティングが厳しくなく、そう考えると、十分にプロでも通用する理屈になる。 2年で中退してしまうことに関しては「学生ゴルフでは素晴らしい経験ができ、チームメイトと一緒に戦えたのは楽しかった。でも、いずれはプロになるのが私の夢で、その準備はできているし、今がいいタイミングだと思う」と語るオチョアだが、学生ゴルフ界のレベルが上がったとはいえ、彼女にとっては、学生ゴルフの舞台では、もう物足りなくなってしまったのかもしれない。 プロ宣言したかと思ったら、早々と翌週のフューチャーツアーでプロデビューを果たしたオチョア。そういえば、アリゾナ大学といえば、現在ツアーを独走中のアニカ・ソレンスタムの出身校。それに、メキシコ系といえば、ナンシー・ロペスがいる。つまり、オチョアには大物になる条件がすでに揃っているといえる?