週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
5月1日から、親と子どもが一緒にランドできるジュニアプログラム「きずな」をスタートし、話題を集めているのが、福島県いわき市の五浦庭園CCだ。このプログラムはジュニア(7歳から17歳まで)1名につき保護者1名で登録。年間登録料1000円を払えば、ジュニア750円、保護者7590円で一緒にラウンドできるというもの。 これまでジュニア育成に関しては、全組スタート後といった時間制限、休場日などを利用した曜日制限などのサービスはあったが、通常営業時間ばかりか、学校が休みの土、日、祝日でもプレーできるうえ、平日と同じ料金でプレーできる内容は、全国的にも珍しいものだ。 初年度となる今年は、来年4月末日までを期間に、限定100組を募集したが、地元を中心に反響が大きく、すでに50組強が登録したという。ちなみに福島県在住者でなくても、応募は可能だ。 「実際にプレーしたのは、まだ2組ですが、コースデビューを目的にマナーやエチケットの学習、練習を積んでいるお客様も多く、子どもと共通の目的を持つことで会話が増えたと喜んでおられるお客様もいます。“きずな”というネーミングを考えていただければ、それだけでも大成功と思っています」(同プログラム担当・蛭田均氏) ちなみに五浦庭園CCといえば、中嶋常幸プロの実弟、篤志氏が社長を務めるゴルフ場。用具を持たないジュニアに対し、無料レンタルのクラブを15セット用意したが、うち6セットは趣旨に賛同した中嶋プロが提供した。しかもそれらは、同プロのジュニア時代の愛用品。第2、第3のトミーの出現に、大きな期待もかかる。 「営利目的ではありませんから、一銭のお金もいただきません」と言うのは、5月11日から近隣3町村(阿南町、泰阜村、下條村)の小学4年~中学3年生までを対象に、「ゴルフ教室」を開校した、長野県下條村にある飯田CCの岡元浩晃支配人だ。来年2月まで毎月第2、第4土曜日の午後3時から5時まで、計20回の授業を行う。企画立案から役員会の説得、また地元下條村の賛同の取り付けなど、2年間越しでこの計画を実現させた岡元支配人によれば、「教育には知育、体育、徳育の3つがありますが、集団生活に慣れていないせいか、最近の子どもに身に付いていないのは、徳育ではないでしょうか。公共心、他人に迷惑をかけている意識、自己責任の希薄さ。考えてみれば、これらはすべてゴルフを通じ学べるもの。せっかく土曜日が休みになったこともあり、ならばそれを子どもたちに教えるのも、地元に根ざすゴルフ倶楽部としての我々の使命ではないか、と考えたものです」 5月11日の1回目の授業には4人、25日の2回目の授業には10人が参加。同CCには問い合わせも相次いでおり、今後、さらに受講者が増えるのは必至。経営は地元下條村が5パーセントを出資する第三セクターで、完全学校5日制初年度ということもあり、広報などで地元行政の協力を得られた点、また地元会員が多いということも稼ぎ時である土曜日にこうした試みが可能になった理由のようだ。 20回の授業のうち7回はエチケットやマナーを学び、他は実技といった内容。夏休みには近隣にあるショートコースの喬木CCをラウンドし、最後の2回はいよいよ飯田CCでコースデビューできることになっている。 ユニークなのは、参加者はすべて学校指定の体操服での参加を義務づけている点。岡元支配人によれば、まずゴルフをしない保護者に、ゴルフはお金がかかるスポーツとの誤解と偏見を拭い去ってもらう目的と同時に、「エチケット、マナーはもとより、休みになった土曜日を利用してこれまで体験できなかったゴルフの楽しさを少しでも多くの子どもが気軽に味わってもらえたらと考えています」 本来、ゴルフは楽しいスポーツであり、ゴルフ場は愉快な場所。未来を担う子どもたちに、是非ともこの基本、ゴルフの魅力を伝えていただきたい。 その意味でも、これらのプログラムのように、平日だけでなく、学校が休みの土日でも、ゴルフに気軽に接することができる機会はもっともっと増えてほしいものである。