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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。 内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。 |
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週刊ゴルフダイジェスト 6/25号 |
2002年更新 |
気がつけばジャンボ、中嶋ら大御所たちは
皆クラブ契約フリー、人気があるのになぜ?
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ダイアモンドカップで復活を果たした中嶋常幸。優勝は実に7年ぶりと聞き、驚いた人も多かろう。だが、今回「エッ、そうだったの?」と驚かされたことがもうひとつあったのだ。
実はこの大会で中嶋は、テーラーメイドのアイアンを使っていたのだ。中嶋といえば、AONの一角を担っていた最強時代には“ミズノの顔”だっただけに意外に思った人もいるだろう。そこで、ここ数年の中嶋のクラブ契約に触れておくが、ミズノとの24年間に及ぶ契約にピリオドを打ったのは99年、賞金ランク81位で、長年保持し続けた賞金シードを失ったときである。00年からはダンロップとクラブ以外の契約を結ぶが、ことクラブに関しては、今日までフリーでいろんなクラブを使ってきた。ちなみに、フリーになった直後の00年の春は、1W=タイトリスト、3W=キャスコ、2I=プロギア、アイアンはジョイ・メニィ、SW=クリーブランドと“まさにフリー”というセッティングだった。
今回、中嶋が使ったのはテーラーメイド300フォージドアイアンとプロトタイプのウェッジで、「球のつかまりがよくラインが出る。クラブに助けられて優勝ができた」とコメントまでしている気に入りよう。同社とは、最近、長男の雅生が契約したという事情もあり、今回の優勝で親子で契約かとの憶測も上がったが、中嶋は「フリーだとクラブを自由に選べる」と契約はしないつもりという。
実はAONの他の2人もここ数年、クラブ契約はフリーだ。ジャンボは96年にブリヂストンとの25年間にわたる契約を打ち切り、翌年、新興のワールドワンと契約。ところが、翌98年に同社の黄原社長が賭博容疑で逮捕され契約を解消。その後、ファミリー企業的なTMJ社を立ち上げ、ジャンボと弟の建夫の使うクラブを開発してきた。
ところが、同社が昨年破綻、次なる契約先が年明けの話題となったが、一向に契約話は持ち上がらず、当面は「フリーでオリジナルクラブでいく」と宣言していた。ところが先のダイアモンドカップから、ジャンボはミズノのドライバー300SIIを使用。昨年、川岸良兼の使っていたミズノの3Wを打って好感色を得て、昨秋から使い始めたことがきっかけで、今回1Wと4Wの2本を使ったのだ。
ただ使ったからといって即契約とはいかず、ミズノでは「そういう話は上がってません」(広報)としている。また「ジャンボに関しては“億”を超える契約金や、これまで自分が開発してきたクラブのデザインや金型の扱いなどもあって、そう簡単に契約するメーカーは出ないだろう」と言う関係者もいる。建夫もTMJの破綻以来クラブの契約はフリー。クラブ調整などをツアーバンサービスのクルーズに頼むことが多く、「その縁でバンに協賛しているロイヤルコレクションの3Wと5Wを使い始め、今年から1Wも使っています」とクルーズの吉本晴夫氏。ただ、先週のJCB仙台では兄ジャンボと同じミズノのドライバ-を使うなど、ジェットの場合、「基本的にジャンボと同じ路線を行く」(某メーカー関係者)ようで、ジャンボ同様、当分フリーの状態が続きそうだ。
青木功も長年交わしていたダンロップとの総合契約は、00年にクラブ以外、01年以降はボール単独と契約内容が変わってきている。同社では「主力商品を使って欲しいこちらの意向と、フリーチョイスを希望する青木さんの考えとの間で相違があり、クラブ契約は双方の合意で終わりました」(広報)としている。その後、青木は「VEX」というオリジナルクラブ(今月下旬から市販開始)を使用、先日そのクラブで久々の米シニアツアー優勝を果たしている。
それにしても、あれだけ知名度のある大御所たちが、今ではクラブ契約がフリーというのは、何とも不思議な気もするが、今後メーカーがこれらの選手と契約を交わす可能性はと言うと、「ほとんどノー」だそうだ。
理由は「まず、存在が大きいだけにそうそう低い金額で契約とはいかないうえ、オリジナルクラブの開発費や時間的な制約もある。年齢からして今後の活躍年数や現場でのクラブのメンテナンスのことを考えると契約には及び腰にならざるを得ない」と某メーカーの担当者は証言する。しかし、今回のテーラーメイドやミズノのように、使っただけで話題になるのも、ビッグネームならでは。
ましてや中嶋のように優勝すればその宣伝効果は大きく、「契約はできないが、使ってもらいたい」(某メーカー)というのが本音だ。当のビッグネームのひとり、中嶋は「これまで金額を提示してきたメーカーも数社あったが、お金じゃない。自由にクラブを選んで、そのクラブでお金を稼ぐということが大事なんだ」と言う。やはり、プロは試合で勝たなければいけないということである。
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