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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 6/25号
2002年更新
民事再生の川奈が8月、コクドに譲渡へ
庶民に開かれるのか、伝統を守るのか?
 民事再生法を申請した名門・川奈ホテル。その譲渡先が注目されていたが、小誌既報通り、西武鉄道グループの総本山・コクドに正式決定した模様だ。

 6月3日、川奈ホテルでは静岡県伊東市で債権者への説明会を開催。金融機関約20社と、会員権を持つ企業100社以上が出席したこの会合で、ホテルとゴルフ場を8月1日付けでコクドグループに譲渡することを骨子とした再生計画案を発表した。

 依然、コクド側は「手続き継続中でコメントできる時期ではない」(同社広報部)とするが、今後は会員の同意を取りつけた上で、パブリック制への転換を図るものと見られている。実際、説明会では料金割引などの会員特典は継承されない方針も明らかにされている。

 気になる譲渡金額は220億円になる見通し。うち160億円は、金融機関と個別交渉の末、ホテルやゴルフ場施設に設定された担保権の解除のために用いられる見通しだ。ちなみに同社の負債総額は、平成14年2月時点で約670億円。内訳は金融債務340億円、預託金約116億円、労働債務20億円、その他約194億円。この他に川奈ホテルを担保提供したグループ会社への物上担保保証が約1051億円がある。譲渡代金のうち160億円で金融債務、物上担保保証を整理し、残る金額は60億円。ここから他の債権に優先する労働債務20億円が整理されると残額は40億円。預託金など残り約310億円を、この40億円で整理することになると、単純計算で会員の預託金は約87パーセントカットという厳しいものになりそうだ。しかも、他の民事再生のケースと異なり、パブリックへの転換は会員のプレー権を継承しないため、今後、会員の同意が再生計画に大きな影響を与えることになりそうだ。

 さて、パブリック制への転換と聞いて、これまで憧れだった川奈でのプレーが一般庶民にも手の届く料金になるのでは、という期待が高まる一方、川奈が大衆パブリック化してしまうと危惧する声もある。平成10年からは、大島コースに限り宿泊客以外にも開放したが、原則として宿泊客にしかプレーをさせない経営方針が、日本では珍しい独自のリゾート文化を育んできたことも事実だ。

 それだけに川奈が大衆パブリック化し「サンダル履きで誰もがプレーできるコースになってしまえば、日本のリゾート文化が消滅してしまうことにもなりかねない」(ゴルフ評論家・田野辺薫氏)というわけだ。

 これについて川奈ホテルでは、「まだ話すべき段階にはない」としながらも「川奈ホテルの名称と、ホテル・ゴルフ場一体の運営スタイル、そして従業員の継承を条件に、先方(コクド)と交渉しています」としている。

 川奈ホテルが築いた伝統、文化を引き継ぐことも譲渡先の使命。さらには、その伝統・文化に、時代の要請にあった新しい伝統、文化をも創造してもらいたいものである。

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