週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
全英オープンでは、65歳までの過去の優勝者に出場資格を与えている。正確に言えば、大会の最終日に65歳かそれ以下でなければならないというものなのだが、昨年の11月1日に65歳になったプレーヤーは、その時点で予選免除の資格を失ってしまった。しかし、それは彼にとっては、全英オープンに出場しないということを意味しない。 米国人以外の唯一のグランドスラマー。メジャー8勝に、世界で125勝以上。パーマーとニクラスとともに、ビッグ3時代を築いたが、この2人が君臨する時代、交通事情の悪い60年代、70年代に、遠い南アフリカから来た小柄な彼がマスターズと全米プロでそれぞれ2勝しているといえば、どれくらい凄い選手だったかがわかってもらえるだろう。 普通、これほどのビッグネームともなれば、全英オープンといえども、予選会から出場するなど考えにも及ばない。しかし「私はこの試合を愛しているし、50年代、60年代、70年代と三つの時代にわたって、私はこの試合に勝っている。第一に私はプレーをしたいんだ。すでに決断したし、情熱もある。そして、自信もある」ということで、この7月14日と15日にかけて開催される36ホールの最終予選会に出場することになっているのだ。(地区予選は免除されている)。 「もし彼が予選を通り、全英46年連続出場という記録をさらに伸ばすことができたら偉業だ」と語るのはR&AのP・ドーソン事務局長だが、プレーヤーの息子、マーク・プレーヤー氏によれば、父親の頭にある目標は、全英オープン50年連続出場だとか。つまり、今年の成績次第だが、今年を含めてあと4年予選会から出場する可能性もあることになる。 そもそも彼にとって、全英オープンは、特別な大会のようだ。実際、彼が母国・南アフリカを出て、最初に目指したのは、イギリスだったし、プレーヤーの名前を知らしめたのも、今年の会場であるミュアフィールドで開催された1959年のジ・オープンだ(そのほか全英では、68年のカーヌスティ、74年のロイヤルリザムで優勝)。 それだけに、とくに今年のミュアフィールドでの全英オープンには出たいという気持ちがあるのだろうが、ひょっとすると、G・サラゼンの持つ71歳4カ月という全英オープンの最年長出場記録(1973年に達成。当時は65歳の規定がなかった)が、プレーヤーの視野には入っているのかもしれない。 なにしろ、「できる、できないはともかく、最後まで戦い続ける」というのが口癖のプレーヤーにとっては、3年後(50回連続出場達成)も5年後もたいした違いはないのかもしれないからだ。 今でこそ当たり前になっている筋力トレーニングをゴルフに持ちこんだのはこのプレーヤーで、健康管理には人一倍気を使うタイプ。「鉄人」「修道僧」「努力の人」といわれる所以だが、それだけに彼ならやってくれる気がする。 実際、プレーヤーが、米シニアツアーで最後に勝ったのは4年前の98年。先日、勝った青木の59歳をはるかに上回る62歳のときだ。そのほか公式戦ではないが、00年のシニアスキンズゲームでもT・ワトソンを抑えて優勝しているし、最近では5月末のファーマーズチャリティで9位タイに入っている。何より66歳で今年すでに10試合に参戦していることだけでも、まだまだ気力は充実しているといえる。 自分の限界に挑戦し続けるプレーヤーの姿勢には、結果がどうあれ清々しさを感じさせる。アピアランスフィが出なければ海外には行かないなどという米国選手が増える中、プレーヤーの挑戦には拍手を送りたい。