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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 7/2号
2002年更新
預託金はクラブ解散時返還も第一抵当権
設定可能な永久会員制度導入の南摩城CC
 栃木県の南摩城カントリークラブ(栃木)で、「永久会員権制度」なるユニークな預託金償還対策が話題を集めている。同CCは、昭和50年の会場、オープン当初からの会員が大多数を占めているため、会員権の額面は比較的低額。それなのになぜ、償還対策? というのは当然の疑問だが……。

 クラブ側の説明によると「順次償還には応じておりますが、不透明な経済状況の中、今後このような預託金システムを継続していくことは、中・長期的にわたり、ゴルフ場経営の安定が失われるひとつの要因ともなりかねない。償還問題が根本から解決できれば、その資金をコースに投入し、会員の皆様にも還元できる。そんなことから永久会員権という制度を提案させて頂きました。しかし、あくまでも切り替えの選択は会員様の御意志なので気長にお勧めしようと思います」(同CC・岡地晃嗣社長)と言う。

 同クラブが1月の理事会で制定した、この永久会員権制度は、預託金はクラブ解散時まで預託するものの、永久会員権に切り替えた会員は、後述するさまざまな特典のほか、同クラブの土地・建物に、第一順位の抵当権を設定する優先権を持つ、というもの、万一、クラブが解散する事態になれば、抵当権を行使することにより永久会員の預託金が保護されるというわけだ。

 あるいは、金融機関の融資など、なんらかの事情で抵当権を設定するような事態になった場合でも、事前に永久会員に通知し、永久会員権が第一順位の抵当権を設定できるとしている。ちなみに同クラブの土地・建物には、現在、まったく抵当権が設定されておらず、自己資金でゴルフ場経営をしてきた会社ならではの提案ともいえるだろう。

 それにしても、会員が抵当権を設定とは、具体的にどういう方法を採るのだろう?

「現在ひとつの案としまして、別途、預託金保証会社を設立し、永久会員の皆様に対し、当クラブが負担する預託金返還義務を連帯して保証します。その結果、預託金保証会社は当クラブに対して求償権を取得し、これを担保にするため、当クラブの施設に第一順位抵当権を設定するという方法を考えています。これらの取り決めすべてを公正証書にし、その保証書に該当するものを各永久会員に発行致します。これにより、当クラブの解散時に預託金保証会社が永久会員のために抵当権を行使し、預託金の支払いに充当して永久会員の権利を守ることになります。この方法だと、ゴルフ場の永久的な存続が可能になり、会員も万が一のときの保全ができる。解散時にすべての債権者の清算が終了してからの資産分配になる株主会員よりも確実に有利です」(岡地社長)

 過去に会員がゴルフ場施設に第一順位の抵当権を設定したケースでは、奈良県の美奈木GCがある。ここは会員組織である「みなきの会」が全国で初めて中間法人をして登記されたことで知られるゴルフ場。ここも他に抵当権の設定がなかったことから、極度額150億円の根抵当権を中間法人となった同会が設定した。

 第一順位の抵当権ではないが、通常の抵当権よりも強い譲渡担保を、間接的ながら会員が設定したのが中嶋常幸プロの実弟が経営する東松苑GC。こちらも償還対策として、10年間の据置期間延長を要請する代わりに、会社側と会員組織が50パーセントづつ出資する保証会社を新設。会員の預託金はこの保証会社が保証、そのためにゴルフ場施設に譲渡担保を設定するというものだ。

 いずれにせよ、会員組織は任意団体である以上、抵当権の設定はできない、そのため南摩城CCでも、東松苑GCのように保証会社を設立して、会員の預託金債権を守る方法を選んだと見られる。

 さて、先述の特典だが、永久会員に切り替わった会員には、年会費の1年間免除、3年間に限りビジターを同伴したセルフでラウンドしたときにはプレーフィを免除、3年経過後はメンバーフィを免除、相続と同一法人内の名変については1回限り名変料を免除、70歳以上で3親等以内に会員権を譲渡した人は、その後も会員料金でプレーできる、などの特典も用意した。預託金償還対策で頭を悩ますゴルフ場が多いだけに、このユニークな制度の成り行きに注目が集まっている。

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