週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
この1カ月で日本中に急増したのが“俄かサッカーファン”だ。一般ゴルファーの間にも増殖したようだが、プロの中にも少なからず現われた。 「これまでサッカーにはまったく興味なかったけど、(日本の初戦の)ベルギー戦をスタンドで観戦したら、もう病みつき。すっごい、大興奮しちゃいました。あれだけ盛り上がったら、皆ゴルフ見に来ないですよね(苦笑)」と語る村口史子プロなどはその典型。 サントリーレディスの予選ラウンド2日目に当たる14日といえば、15時30分キックオフの対チュニジア戦に日本中が熱狂した日。大会関係者によれば、14日のチュニジア戦は大阪で行われることもあり、ギャラリーの入りは半分諦めていたという。ところが、フタを開けてみると、昨年よりわずかな減の1500人ほどが入場。閑古鳥状態は避けられたが、思わぬ方向から非難? を浴びた。 「4日間競技の場合、人気・実力選手のスタート時間は初日が午前、2日目が午後で組むのが普通なんです。当然、今回もそうだったんですが……」(運営会社スタッフ) つまり、人気・実力選手の多くがチュニジア戦の時間はラウンド中で、ライブ観戦できなかったのだ。 「すっごいショック! もう、すごい熱を上げて応援していたのに!」と嘆いたのは久保樹乃プロ。彼女は今季、目覚しい活躍でその「人気・実力選手」の地位に復活してしまった? ばかりに、当日午後スタートの不運に……。 ほかにも、肥後かおりや塩谷育代などから冗談半分に「どうして、午後スタートなのよ!」と詰め寄られたとか。 男子プロにも俄かファンは少なくない。しかも、14日の週はツアー競技のない空き週。お陰で心おきなく観戦できたようだ。室田淳プロもそのひとり。 「サッカーファンではないけど、生きているうちに日本で観られるのはこれが最後と思い、日本戦は2試合観に行きました」 また、18日のトルコ戦当日は、よみうりオープンの練習ラウンドの日で、本来ならTV観戦どころではないはずだが、14時以降、コースにはラウンドする選手も、練習場にも選手はほとんど現れなかった。代わりに賑わったのが、ハウスのTV前。10人ほどが熱心に観戦した。 「このために練習ラウンドは午前中にしました。ハウスで見られなかったら車の中で見るつもりでした」(久保谷健一プロ) TV中継観たさにラウンドを前日もしくは当日の午前中に済ませたプロも何人かいたようだ。ゴルフ場にも影響があった。 「当日は大雨でしたし、周囲の盛り上がりからして、通常営業でしたら相当なキャンセルが出たかもしれませんね(笑)」と半分ホッとした声で語るのは、18日トルコ戦の会場近くの宮城県利府町にある利府ゴルフGCの岩崎均副支配人。同GCでは、タイミング良く18日、19日と全日本大学学生対抗が開催されていたのだ。 だが、周辺コースでは営業面で顕著な影響を受けていた。「当日予約のスルーでの午後スタート枠は1組もいませんでした。また、午前からの通常の組もプレー後、皆さんすぐ帰られたようで、サッカーの試合が始まる時刻には、いつもなら食堂にいらっしゃるお客さまも、ほとんどいませんでした」(ニューワールドGC)ということだから、食堂売上げには大きなマイナスだったようだ。 ベスト16でこの有り様なのだから、日本代表が決勝戦にでも進出していたら、30日のゴルフ場はまさしく閑古鳥が鳴きまくったのかもしれない。