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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 7/16号
2002年更新
全米OPで負けたミケルソン、翌週の優勝で
“メジャーに一番近い男”の印象、一層強く
 全米オープンでT・ウッズに負けたフィル・ミケルソンが、キヤノングレーターハートフォードオープン(以下・キヤノンGHO)で今季2勝目、同試合では初の2連勝を達成した。この勝利でミケルソンは、改めて世界ランク2位の実力を証明したことになったが、同時に“無冠の帝王”の印象をより強くしてしまった感がある。これからもメジャーには勝てないのか? そんな話がアメリカで話題になっている。

「全米オープンの始まる前、優勝スコアはイーブンパーか、コンディションによっては、オーバーバーでも勝てると予想してメディアの前で話した。そして、私は自分の目標を達成し(イーブンパーで2位)、唯一の例外(タイガー)を除いて、残りのプレーヤーたちを打ち負かした」とミケルソンが語ったのは、キヤノンGHOの試合前のインタビューでのこと。結局は、タイガーがミケルソンの予想を上回る実力を持っていたということなのだろうが、話を聞いていると、ミケルソンは他の選手に関係なく、自分の設定した目標のスコアとだけ戦うタイプといえるのかもしれない。

 キヤノンGHOでも、昨年優勝した際に自分で出した16アンダーを優勝スコアと予想し、結果的には14アンダーのトップでホールアウトすると、まだプレー中の選手で、彼よりいいスコアで回る可能性があるのが、無名のJ・ケイだけなのにもかかわらず、「プレーオフになるはずだと確信していた」と語っているのだ。

 コースの難易度と他のプレーヤーの能力を計算して優勝スコアを予想できるというのは、ある意味トッププロの証かもしれないが、ほぼ優勝が確定していても、その目標スコアに自分が達しないとイライラするほど、彼はトータルのスコアとだけ向き合い、戦っているといえるのだ。だからこそ、全米オープンで初日、難しいインからのスタートでバーディを続けざまにとっても「バーディ、ボギーは必ず出るもの、いつ出るかは大きな問題ではない」という発言も出てくるのだ。

 たしかに人の良さは、ツアー選手の中でも群を抜いている。サインを求められれば、ほとんど全員にサインをするし、彼の“家族第一主義”もよく知られたところだ。あるいはメンタル面での弱さがあるからこそ、他の選手に惑わされないよう、目標スコアとだけ向き合って戦っているのかもしれない。

 実際、全米オープンでは、最終日が自分の誕生日にあたり、キヤノンGHOでは2日目が、長女のアマンダちゃんの3歳の誕生日にあたることから、全米オープンでヘトヘトになったと言いながら翌火曜日には、家族を連れて地元のプラネタリウム見物。そして「このあと全英まで、試合に出る予定はないから、ここで持てる力をすべて出しきる」などと語る傍から「初日は、娘の誕生日パーティをするから、プレー後のインタビューは控えてほしい」なんていう発言が出てくるのだ。

 キヤノンGHOの優勝で、ミケルソンは、今季獲得賞金を365万ドルとし、タイガーとの差を40万ドル強に縮めている。現時点でのナンバー2であることに疑問の余地はないが、やはり選手の格はメジャーでの勝利数に大きく左右される。いくら2位の座を保ち続けてもメジャー勝利ゼロでは、歴史に名を残す選手にはなれない。3週試合を休んで挑む7月の全英オープンでは、自分が設定した目標スコアとだけ戦うミケルソンのやり方は果たして功を奏すのか?

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