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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 7/16号
2002年更新
相次ぐ預託金返還請求など経営問題苦に?
GCツインフィールズの社長夫妻が自殺
 預託金償還問題に苦しむゴルフ場が多い中、この6月に訪れた償還期限到来と時期を同じくして、ゴルフ場のオーナー夫妻が自殺するというショッキングな出来事が起き、ゴルフ場業界に衝撃が走った。

 平成4年にオープンした石川県小松市のゴルフクラブツインフィールズ(36ホール)を経営するツインフィールズ(株)の吉村外茂勝社長(62)と、妻の美代子さん(56)が、6月20日、金沢市の自宅で首を吊って死亡していたことが判明、地元の金沢中署では、複数の関係者に宛てた遺書があったことなどから自殺と判断した。

 同GCの会員数は約3000人。預託金の額面は1次募集の830万円と2次募集の1830万円があり、後者については、すでに会員権の2分割とともに10年の据置期間延長を承認しているが、その際に応じなかった少数の会員と830万円の会員の償還期がこの6月に到来した。

 遺書の中にはゴルフ場経営に悩んでいたことなども書かれていることや、「会員から抗議の電話が絶えず、中には脅迫めいたものもあった」(同GC関係者)ようで、償還問題が自殺の背景にあるとみられている。

 同社は迫り来る償還対策として、今年の2月には、額面830万円の会員に対し、230万円を来年返還、残り600万円を(一般にクラブ解散時に返還する)永久債扱いにし「副会員」と呼ばれる平日会員へ切り替えることを理事会で決議、会員に提示していた。

 ところが、この案に反対意見が続出、同社の代理人によると、「6月に償還期を迎えた2000人弱の会員のうち100数十人から返還の請求があり、うち13件の返還訴訟が起こされている」こともあって、6月18日付けで、来年3月にまず100万円を返還、残額を10年間据置きとする新たな提案を示し、「いい方向に進みかけていた」(同GC・藤田勝男支配人)、その矢先の出来事だっただけに関係者のショックも大きい。

 ちなみに同GCは「県下でも5本の指に入るゴルフ場」(地元のゴルフ場関係者)で、過去95年にはPGAフィランスロピー、99年には日本プロ選手権、そしてこの8月1日からはアイフルカップの開催コースになるなど知名度も高かった。超豪華なクラブハウスで知られ、地元での評判も高く、「オープン時の募集では非常に人気があり、入会できない人もいたほど。ただ、一時は2000万円近かった相場も、今年の4月に名変停止する直前は150万~200万円に落ち込んでいた」(地元会員権業者)という。

 そのため返還請求が相次いだわけだが、こういった事情は相場の額面割れを起こしているゴルフ場ではどこもだいたい同じ。昨今は「償還問題で経営破綻の恐れがあるから」という理由で、あっさり民事再生を申請して大幅に債権カットするゴルフ場も多いようだが、同社でもそういった対応をしていれば、今回の悲劇を産まずに済んだのではと見る向きもあるが……。

 民間の信用調査機関によると、同社の経営母体は、地元で貸しビル業、ホテル経営などを行うガイモ(株)(旧・英興物産)で、系列には平成5年開場の小松CCもあり、地元の金融機関や新聞社、伊藤忠グループなどが出資、経営は比較的しっかりしていたという。それだけに「ゴルフ場事業で民事再生という法的手続きを取れば、金融機関からの融資等の関係で、ゴルフ場以外の事業への影響も大きいと心配したのでは」(地元関係者)といった声もある。

 また、ツインフィールズ(株)の役員には、小松市長の西村徹氏(今年1月末に役員を辞任)をはじめ、北國銀行の代表取締役の米谷恒洋氏など地元金融機関も数人、名を連ねていることなどから「都会と違って、まだ地方では民事再生というと“倒産”というイメージが強く、そう簡単にはできなかったのでは」といった声も聞かれた。

 償還問題を抱えるゴルフ場のオーナーの実情について、日本ゴルフ場経営総合研究所の降旗貞夫専務理事はこう話す。

「誰しもオーナーであれば、できることなら経営を手放す恐れもある民事再生は避けたい気持ちが強い。とはいえ、償還問題を抱える経営者で、会員から文句を言われ、夜も眠れずノイローゼになったり、体調を崩して入院する人はたくさんいます。自宅への嫌がらせの電話など日常茶飯事。それはもう大変ですよ。おそらく今回のオーナーは責任感の強い方だったのではないでしょうか。一般に言えることですが、償還対策の実務面での手続きは口で言うほど簡単なものではありません。自分だけで問題を背負い込まず、ゴルフ場問題を専門とする弁護士に相談すべきだと思います」

 真相は知る由もないが、もし預託金償還問題を苦にして、思いつめて死に至ったのであれば、あまりにも残念な出来事といえるだろう。

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