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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 7/23号
2002年更新
経営破綻後、会員有志が主運営してきた
十日町CC、その会員らが晴れて競売で落札
 経営会社の倒産に瀕して会員が新会社を設立、自ら経営に当たっていた十日町カントリークラブ(旧・上越国際CC)の敷地とクラブハウスが、晴れて会員のものになった。会員9名の出資で設立された(株)十日町カントリークラブが競売で落札、6月27日付けで新潟地裁長岡支部が同社への売却を決定したためだ。

 十日町CCは、昭和47年に上越国際CC十日町コースとして18ホールでオープン、姉妹コースの米山コースともども当初は帝国観光なる会社が経営していた。しかし、昭和51年に帝国観光が倒産、両コースはゴルフ場の乗っ取りで名を馳せた森下安道氏率いるアイチグループの(株)サン・ライフが引き継いだ。

 アイチはバブル期にコースを増設、現在の27Hに拡張した際、首都圏中心に会員の追加募集を行ったため、この時期に会員数は4300名ほどに膨れ上がったようだ。しかし、そのアイチが平成8年に特別清算で消滅することが決定。その後メインバンクだった東京相和銀行も平成11年6月に破綻、その影響から資金難に陥ったサン・ライフも同年暮れ、手形の不渡り事故を起こして倒産してしまった。

 ここまではありがちなバブル型ゴルフ場経営会社の破綻だが、このコースでは即座に地元会員有志で「十日町ゴルフ場を守る会」を発足させ、何とサン・ライフとの間で運営受託契約を結ぶ。新会社がサン・ライフから運営委託を受け、従来の従業員を新会社で雇用し、人件費も含めてコース運営に必要な経費を収入から差引き、残りをサン・ライフに渡すことで話を付けることに成功したのである。

 通常、経営会社が破綻してしまうと、プレーフィ収入を経営会社、もしくはその親会社が持ち出してしまい、コース管理に必要なコストが払えずコースが荒れてしまうことが多いが、この運営受託の交渉に成功したことで、同コースはメンテの劣化を回避できたわけだ。

 この運営受託契約締結に成功した要因は、9名という意思決定を図りやすい人数で地元会員が結束してすぐにアクションを起こしたこと、自営業者が多く、必要な出資金の拠出に時間がかからなかったこと、そして同コースは敷地の9割が借地であったことが逆に幸いし、会員でもある地主が、地元会員設立の新会社に協力的だったことなどが挙げられるだろう。この段階で借地部分の契約について30年更新しているのである。

 ただ、この段階では「コースを守ることに必死で、最終的にコースを競売で落札するかどうかなど考える余裕はなかった」(上越国際CC時代から支配人を務める原澤栄氏)と言う。

 さらに、サン・ライフ倒産の約10カ月後、同コースにさらなる災難がふりかかる。クラブハウスに120億円の抵当権を設定していた千代田生命が破綻、その抵当権付き債権をローンスターグループのハドソンジャパンが買い取り、競売を申立てたのである。

 しかし、今回の入札に応札したのはこの(株)十日町CCだけ。たしかに借地が9割を占め、その地主を会員組織が押さえているだけに、第三者が入札に参加しても地主との交渉は高いハードルになるだろうし、その意味でも競合は起こりにくい状況にあったといえる。いくら昨今のゴルフ場の売買価格が下がっているとはいえ、10億円前後が多い中、(株)十日町CCは今回3億円強という安い価格での落札に成功しているが、これも借地割合の多さゆえ。落札資金については金融機関からの借入でまかなうが「具体的な融資金額は公表を差し控えたいが、地元の金融機関がほぼ全面的にバックアップしてくれる」(前出・原澤支配人)そうで、それもおそらく地元金融機関とのパイプを持つ地元会員と地主が一体となった賜だろう。

 現在、同コースに年会費を納めている会員は2300名ほどで、そのほとんどが地元関係者だという。今後は既存会員を含め、会員募集を行っていくという。好条件に恵まれたとはいえ、同コースの事例は民事再生などの法的手続きを使わない、会員組織によるゴルフ場再建のモデルケースになりそうだ。

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