週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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　そのゴルフ場は埼玉県小鹿野町にある東都埼玉カントリー倶楽部。経営会社の東都自動車（株）は、平成11年9月、小鹿野町を相手に固定資産税の減額を求め、浦和地裁（現さいたま地裁）に提訴していたが、7月1日、小鹿野町は原告の訴えを受け入れる形で和解書を作成。近く両者の間で和解が成立する模様だ。

　平成元年開場の同ゴルフ場は、埼玉県の開発基準に基づき、敷地面積の50パーセントの山林を保存して建設されている。ところが、長く自治省（当時）監修の課税手引書は、「保存樹林もゴルフ場」との見解を示し、保存山林にも開発されたフェアウェイ部分と同じ評価で、高い税率が課せられてきた。そのため未開発の山林部分の固定資産税は、周辺山林の100倍もの税額になっていたのだ。

　すでに和解の道を選んだことを町長が議会に表明している小鹿野町では、「これまでゴルフ場の山林について一体課税としてきました。しかし、まず2000年版の課税手引書から『保存樹林もゴルフ場』との項目が削除された点がひとつ。次に実際に現況によって課税する場合、どこまでが山林で、どこからがゴルフ場かの評価が難しいという問題があります。この点は東都さんのほうで数百万円の費用をかけ、山林を開発部分と未開発部分に分筆登記されました。これで評価が可能になり、町としても納税者の意見を聴く形で、和解の道を選んだのです」（同町税務課）

　気になるのは、一体評価が現況評価に変わったことで、固定資産税がどれだけ減額するかだが、町としては「納税者の個別情報を教えることはできない」との立場。また一方の当事者である東都自動車本社も、「まだ町が作成された和解書が手元に届いておらず、コメントする段階にはない」（ゴルフ事業部）とするため推測する以外ないが、約4割減になる見込みだ。

　これについて日本ゴルフ場事業協会（NGK）の萩原陽事務局長によれば、「当協会の平成6年の調査で、1コースあたりの固定資産税の平均納税額は約1603万円で、大きな変動はないだろう」というから、そこから4割減となれば、約600万円を節税できる計算。ちなみに固定資産税問題についてNGKは、これまで自民党に対し、現況評価の導入を訴えるとともに、テニス、フィットネスクラブなど用地を必要とする他のスポーツ団体とも協力して、経済産業省への評価見直しについて要請も続けてきた。

「固定資産税の問題は、広い用地を必要とするスポーツにとって、大きな経営負担になり、その普及にも影響を与えている。またゴルフ場に限って言えば、全国の市町村がマチマチの評価をしており、評価方法には疑問も多い。その意味で今回の和解は、ひとつの指針となる大きな意味を持つものだ」（前出・萩原事務局長）と、高い評価を与えている。

　税金に関しては、もうひとつゴルフ業界を揺るがしかねないのが、小泉首相が平成15年度からの導入を打ち出した外形標準課税だ。同税は東京都が大手銀行に課税したことで話題を集めたが、「資本金、売上金額、家屋の床面積若しくは価格、土地の地積若しくは価格、従業員数等」（地方税法72条の19）を基準に課税できるもの。これが導入されれば広大な面積を持ち、従業員も売上高も多いゴルフ場会社にとって、大きな課税負担になる可能性が高い。

　この点についても先の萩原事務局長は「業界の特殊性も考えずに外形標準課税が導入されれば、ゴルフ界にとって死活問題。そのため日本商工会議所と連携し、導入反対の署名運動を、7月末日を期限に行っている最中で、（我々の）会員でないゴルフ場も業界の大きな問題として参加してほしい」と話す。

　ゴルフ業界には、この他にもゴルファーには担税能力があるとして、スポーツで唯一、ゴルフ場利用税という不条理な税金が課せられてもいる。国も地方自治体も危機的財政難にあることは理解できるが、その使い道を見直すこともなく「取りやすいところから取る」姿勢には大きな問題があるのではないだろうか。