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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 7/30号
2002年更新
ツアー全体の冠スポンサー「イーヤマ」が
年間3億円の使い道の再検討をツアーに要求
 ツアー全体を通した冠スポンサーは日本で果たして根付くのか? 国内男子ツアーを統括する日本ゴルフツアー機構(JGTO)と、ツアー全体の冠スポンサーであるパソコン関連機器メーカー、イーヤマの契約が今年いっぱいで更改される。冠大会であるイーヤマカップが終わり、両者がそれに向けて動き出し、ネガティブな記事が各スポーツ紙に躍ったことで、その関係が取り沙汰されている。

 イーヤマとJGTOの契約は99年から3年間。年間を通じたツアー全体の冠スポンサーとして3億円、イーヤマカップに2億円(ともに年間)拠出するもので、JGTOがJPGAから独立したときから、完全にサポートする姿勢での契約で、今年がちょうど3年目だった。

 イーヤマカップは佐藤信人の優勝で大会は無事幕を下ろしたが、契約更改に向けてイーヤマが「(5億円という)費用対効果を含めたこれまでの総括と、今後の展望について具体的に出してほしいと、ツアー側に文書でお願いしました。不満があるからということではなく、更新への動きで、今後についての新しいアイデアを聞きたいですね。(スポンサー料の)減額(を要求したこと)は言ってませんが、結果次第でお金を減らすのか増やすのかを考えていきます」(山際大・同社総務統括部長)というのが現状だ。

 この動きが様々な憶測を呼んだ。多くの新聞報道で「イーヤマが減額要求も」という見出しが躍ったことで、周囲に動揺が走り、撤退の噂までもが飛び交うありさま。JGTOでは「契約更改に動き出したところ。この時点でマイナスの話が出て憤慨しています。(契約額の)ダウンというふうには考えていません」(渡辺広人・広報ディレクター)と不快感を露にしているが、実際のところは果たしてどうなのだろう?

「基本的にはサポートしていく、全体としてよくなっていこうよという前向きな姿勢でいます」と前置きしながら、前述の山際氏は同時に現状に対してはジレンマを隠さない。

「大会のスポンサーという部分は商品価値として非常にわかりやすいが、(ツアー全体の)オフィシャルスポンサーとなるととらえにくい。メディアへの露出が十分とは言えず、なかなか認知されていかない」

 たしかに、読者の中にも、日本ゴルツアーの別名が「イーヤマツアー」だということを知らない人も多いのではないだろうか。これまでも、自分たちの大会名の前に「イーヤマツアー」との名がつくことに一部主催者から不満が出るなど、メディアへの露出面が十分できなかったのも事実だ。

 また、契約当初はJGTOも発足直後で組織としての基盤も弱く、冠スポンサー頼りの状態にあったはず。このことはイーヤマ側も承知していたが、3年の歳月が流れ、これまでの投資の費用対効果を詳細に検討、新たなプレゼン次第で今後を考えるのは当然のこと。

「最初は、期待や思い入れもあった。しかし、いつまでもミルクだけを与えているわけには行きませんから」と山際氏は言う。

 そんな折も折り、JGTOが自分たちの大会として格式をつけたいというイーヤマカップで、大量の途中棄権者が出た。雷雨中断により日没サスペンデッドとなった2日目終了時に8人。翌日、濃霧の中、第2ラウンドの残りホールのスタート前、及びプレー中に2人。もちろんそれぞれ棄権の理由はあるが、明らかにスコアが悪く、これ以上1日残ってプレーしても予選通過は無理という理由の選手もいたのは、本人が漏らした言葉でも明らかになっている。

 過去にも雷雨で最終日が中止になる事態もあったが、7月に栃木県のこの地区で行われる試合なので、毎年、大会は雷覚悟の開催となっている。中断、日没サスペンデッド、そして翌朝濃霧の中での再開と、過酷な戦いが続いたのは事実。しかし、「ツアーNO.1を決めたい。自分たちのトーナメントを作りたい」とJGTOが目論むように選手たちに大会を大切にする思いがあれば、今回のような大量棄権という事態は起こらなかったのではないか。JGTOの努力はもちろんだが、同時に自分たちのツアーに対する選手全員の自覚が、今後を左右することになるはずだ。

 それにしても、今回の減額報道では「イーヤマ」の名前が各メディアで露出された。なんとも皮肉な話ではある。

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