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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 8/6号
2002年更新
女子と違い、男子の日本アマはまだ社会人
健在!“中年ゴルファーの星”たちの練習法
 今年の日本アマ選手権は、サラリーマンの藤田大が優勝した。社会人の優勝は、この13年間で一昨年の和田博に次いで2人目。練習量と試合数で勝る学生が圧倒的優位といわれる現在のアマゴルフ界での優勝に、溜飲を下げた向きも多かろう。藤田以外にも今年の日本アマは社会人、それも中年ゴルファーの活躍が目立った大会でもあった。

 最近のアマゴルフ競技の世界では主力選手の若年齢化が顕著で、小誌(週刊GD)でも報じたように、先の日本女子アマではベスト8の平均年齢が16歳で、うち中学生が2人いた。男子の日本アマでも、12歳の小学校6年生の伊藤涼太が史上最年少記録を更新(前記録は15歳)して話題になったが、そんな中、気を吐いた中年ゴルファーが2人いた。今回の日本アマのベスト8の平均年齢は28.8歳。女子アマの16歳と比べると高齢だが、このアベレージを持ち上げたのが、初の8強入りを果たした40歳の杉山稔さんと、2年連続の坂上忠幸さんの2人だ。早速、その2人に、パワーと勢いの学生ゴルフに対抗するための「大人のゴルフ」の真髄を聞いてみた。

 杉山さんは現在、千葉県でゴルフ練習場の支配人をしている。同練習場を経営する父親のすすめでゴルフを始めたのは19歳のとき。当時は環境の良さもあって、毎日600球も打つガムシャラな練習だった。ところが、2年目でシングル入りを果たす頃にはこのガムシャラな練習は影を潜め、主眼は専ら“力を抜くこと”に向いたという。

「最初にやったことは、スライスとフックを打ち分けること。これでフェースの扱い方を覚えましたし、力を抜いてコントロールして打つ感覚はかなり養えました」(杉山さん)。

 その後、「大人のゴルフ」の確立に大きな影響を与えたのが海老原清治プロで、彼の提唱する「竹ぼうきを振るドリル」によって“軸をブラさず、力を入れず、飛ばさず”といった境地に近づくことができた。また、風の抵抗を受ける竹ぼうきを効率良く振ることで、クラブのシャフトのしなりを出しヘッドを走らせる打ち方を会得した。

 現在、杉山さんは毎日球は打つが、100球に満たないし、ドライバーは調子を崩すのでほとんど打たない。練習場に来るお客さんのほとんどが、打球の半分はドライバーでの練習に費やす姿を見ては、「アイアンに持ち替えて、力を入れずに軸をキープして体の回転で振ってみては」とアドバイスをする。アイアンで芯でとらえられた後では、ドライバーに持ち替え力を入れずに飛距離が出ることに驚くお客さんも、次に来たときには、またマン振りをしてスライスを打つ姿に、アマチュアの悲しいサガを見る毎日だという。

 一方の坂上さんは北海道在住で、除雪関係の会社を経営している。土地柄、仕事柄11月~3月いっぱいはゴルフはできない。

「できないというより、やらない。クラブはもとより家でパットの練習さえほとんどやりません。球を打ち続けると打つことに専念してしまい、結局知らず知らずに悪いスウィングが身についてしまう。だったら、冬場はその年の悪い癖をすべて取り去り、また春から新たに良いスウィングを作っていくほうが良い」と言うのだ。

 ゴルフを始めた当初は、楽しみでやっているのだからと、スコアに執着せず、スコアカードも持たないラウンドだった。また打つことを楽しみたいのだからと、球は好きなところに置いて打っていた。初めてスコアをつけたときには100を切っていたし、シングル入りは1年半後というスピード上達だ。現在、シーズン中、週2回は練習をするが、半分以上はアプローチやパターに費やす。一般アマチュアに対しては、「一発の300ヤードより、つねに曲がらない250ヤードのほうが強いということに気づいてほしいですね」と言う。

 坂上さんは33歳でゴルフを始めたと聞いて驚いたが、もっと凄い人もいた。

 ゴルフを始めたのが37歳で、今回日本アマ初出場(惜しくも予選敗退)の新保芳昌さん。それも正真正銘のサラリーマンというから驚きだ。始めて3カ月で100を切り、半年で70台という驚異の上達ぶりは、ひとえにレッスン書での自己研鑽の賜物とか。本に書いてあることはとにかく試してみる。それも無理に当てはめるのではなく、試行錯誤して、自分にしっくりするまで繰り返す。この「しっくりくる」までやらない人がいかにも多い、と新保さんは言う。一般アマへのアドバイスは、「ただ球を打つ練習はあまり意味がない。1球ごとにいろいろ変えて打つ習慣をつけること。また、家で2メートルのパットの練習をとことんやること。まっすぐ打っても、絶対にどちらかに曲がる癖は出る。それを見逃さず、それがストロークが原因なのか、構えをアップライトにしたらどうなるかなど、研究するのです。実はコレ、1年前にやりだしたことで、これで日本アマにも出られたようなもの」と話してくれた。

 さて、無欲恬淡とした中にもたゆまぬ探求心を持ち続ける「大人のゴルフ」。早速今日から、実践して将来日本アマを目指してみては如何かな?

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