ゴルフダイジェスト出版案内> BACK9
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 8/6号
2002年更新
アメリカ最大最古の女性団体が閉鎖的な
オーガスタに女性メンバーの入会を迫る
 先週の全英オープン、試合前の話だが、英国テレビ局BBCのスタッフがコースの下見に行った際、女性プロデューサーがクラブハウスへの入館を断られたなんていう話があった。

 会場のミュアフィールドは、女子禁制のメンズオンリーのクラブ。全英では、ロイヤルトゥルーンやロイヤルセントジョージズなども男性だけのクラブで、これを知らなかったBBCも迂闊だったともいえるのだろうが、このゴルフコースでの女性差別問題、アメリカではちょっとした話題となっていたのだ。

 槍玉に挙げられたのが、マスターズが開催されるオーガスタナショナル。相手は全米で最大、最古の女性団体、ナショナル・カウンシル・オブ・ウイメンズ・オーガニゼーションズ(以下・NCWO)。この団体、傘下に160組織を抱え、「アメリカの女性団体のほとんどが私たちのメンバーで、私たちの活動を100パーセント支持してくれている」(M・バーク会長)という、いわば女性グループの頂点に立つ組織。そんな団体が、来年のマスターズまでに女性メンバーをオーガスタナショナルに入れろと、オーガスタのW・ジョンソン氏に書面で通達したのだ。

 これに対し、ジョンソン会長は「たぶん、女性メンバーを迎える日が来るとは思うが、それをいつにするかといったタイムテーブルは私たちが決めることで銃剣で脅されては決めない」と一笑に付したのだ。

 それに先立つ今年のマスターズの記者会見で、ジョンソン会長は、女性メンバーの入会をなぜ認めないのか? という質問を受けて、「女性差別はまったくしていない」と答え、たまたま適切な人物がいなかったから入っていないだけといった表現をしていた。それに加え、一部のメンバーから、女性のメンバー候補を選択しているなんて言う噂も流れ、ひょっとしたら、今年中にも女性メンバーを入れるのでは、といった憶測がマスコミの間で流れていた矢先だった。

 しかし、今回NCWOが書面で要求したことによってオーガスタ側が態度を硬化させてしまったようなのだ。「彼は瞬間湯沸かし機のよう。もうこれで私たちがオーガスタとの直接交渉をする道が完全に途絶えてしまった」(バーク会長)

 そのためNCWOでは「まだ具体的な計画は立ててはいないが、マスターズのスポンサーや個々のメンバーに働きかけていく形になるはず」(バーク会長)と言う。

 もちろん、プライベートクラブが、どのようなメンバーの入会規定を作ろうが、私的自治の観点からは問題ない。しかし、それが公共の媒体を使って、試合を開催し、放映権収入を得るとなると話も違ってこよう。

 米国では、差別を行うクラブでは、PGAツアーやLPGA、USGAの試合を開催しないという規定がある。90年、当時、黒人メンバーの入会を認めていなかったショールクリークCCで全米プロが開催され、問題になって以来決められた規定だが、その唯一の例外が、女性メンバーのいないオーガスタナショナルで開催されるマスターズだ。

 基本的には、差別を行うゴルフ場で試合を開催すれば、黒人団体や女性団体が騒ぎ、不買運動などで試合にスポンサーがつかなくなりテレビ放映もできなくなるということだが、果たしてこのNCWOがどこまでやるのか。

 クラブが創設された頃と違い、女性ゴルファーがこれだけ増えてきた今、名門クラブももう少し女性に門戸を開放してもいいような気はするが……。

バックナンバー

最新号はこちら

週刊ゴルフダイジェスト最新号

アクセスランキング

  • 月刊GD
  • チョイス
  • みんなのゴルフダイジェスト
ゴルフ会員権情報
ゴルフダイジェストの会員権情報です