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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 8/6号
2002年更新
骨髄移植で難病を克服した中溝裕子プロが
5年ぶりにコースで1Hプレーして感涙!
 本誌(週刊GD)目次ページに毎号、カットを寄稿している中溝裕子プロ。ツアープロとして、まさにこれからというときに白血病の前段階に当たる難病を発病。そのままでは「余命5年」と診断された病状を骨髄移植で克服した彼女が、先月、1ホールながら5年ぶりにコースに復帰した。彼女の近況と今後の目標を本人に聞くことができた。

 中溝プロといえば、骨髄移植手術(97年)から免疫力低下による合併症で、延べ2年6カ月に及ぶ入院生活を経験。その間に自分を励ますために始めた「絵手紙」が、見る人にも勇気を与えると評判を呼び、昨年作品集として出版。ゴルフ界以外でも話題を集めた。

 その「絵手紙」はすでに800点以上になり、先週、彼女を支援する人たちの協力により、初の個展が都内で催された。

「人様にお見せするようなモノではないんですが……」と本人は謙遜するが、どの作品も会場を訪れた人の目をとらえ、なかには購入された作品も(売上げは骨髄バンクのチャリティに)。

 ところで、気になる体調だが、普通の生活は支障なくできるまでになったが、免疫力は依然通常の2分の1~3分の2程度。そのためにちょっと無理をすると微熱など、すぐに体調を崩してしまう。療養中はずっとコースに復帰することを目標に病気と闘ってきたが、まだ軽い柔軟体操とウォーキングがやっと。失った筋力を取り戻すトレーニングまではとても及ばない。

 それでも先月、チャリティコンペ(福島県・バイロンネルソンCC)にゲスト参加。パーティ会場で骨髄バンクへの理解と支援を訴えた後、コースの了解を得て、1ホールだけプレーする運びになった。

「それまでもクラブを振ったことは何度かあったけど、プレーは術後初めて、5年ぶりです」ひと口に5年といっても、実はこの5年の間にゴルフ界も大きく変わっていた。

「昨年暮れに、ある骨髄バンクチャリティのコンペで名誉スターターを務めたんです。そのとき、金属鋲のスパイクでガチャガチャと歩いてたら、『今どきそんなの履いている人いないわよ』と笑われて……(笑)。それから渡されたドライバーを見てビックリ。ヘッドがこんなに大きいんですもん(笑)」

 まるで浦島太郎状態だった。そこで、この日に先立ちソフトスパイクを購入、新しいクラブを友人から譲り受けた。練習場で数球だけ打っていざティへ。「打つまでは嬉しくてワクワクでした。でも、ティショットが一応ちゃんと当たって、フェアウェイに踏み出した途端……、今思い出しても涙が出てくるほどの感激でした。スパイクの下の、芝の一本一本までが懐かしい感触で……。今日まで頑張ったから神様が用意してくれたんだと思いました。それからは闘病期間のことが走馬灯のように思い出されて、胸がいっぱいでした」

 結局、3オン2パットのボギーでホールアウト。あと2~3ホール!とねだったが、周囲がストップ。「また帰ってきたい」という思いをお土産にコースを去ったという。

 実は、そのときの模様が朝のワイドショーで全国に紹介された。すると「感動した」「勇気づけられた」という反響が寄せられ、現在彼女のホームページには1日1000件ものアクセスがあるそうだ。

「今後の目標ですか?何とか、今年中に1ラウンドしたいですね。村ちゃん(村口史子プロ)や石﨑さん(石﨑越子プロ))たちと約束してるんです。でも、その前に筋トレができる免疫力をつけなければ……。それを目標に、無理せず前向きに歩んでいきます」

 最後に、読者の皆さんに即興で一作、作ってもらった------『100打とうが120打とうが、ゴルフ出来ることが幸せ』

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