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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 8/13号
2002年更新
試打企画で渡した竹林氏の中空アイアンを
エルスが使用、全英初制覇に本誌も貢献
 先の全英オープンで優勝したアーニー・エルス。勝因は、何といってもT・ウッズが81というプロ入り以来の自己ワーストスコアを叩いた3日目、強烈な風雨と寒さの中を1オーバーで抑えたことだろう。とくに鍵を握ったのが、エルスがティッショットで多用した2番ユーティリティアイアンの存在だ。

 本誌(週刊GD)の熱心な読者は、もうお分かりかと思うが、先週号の『USA突撃レポート』で、クラブデザイナーの竹林隆光氏と本誌取材班がエルスに手渡した「フォーティーンHI-858という2番アイアンが、エルスのバッグに入っていた」(ダレルサーベイ社)のだ。

 話は繰り返しになるかもしれないが、このクラブを全英オープンの4週間前のキヤノンGHOの練習日に、ドライビングレンジでエルスに手渡したとき、「見た目はボールが高く上がりそうだが、実際にはあまり上がらず強い球が出る。全英オープンで使う」とエルスは語っており、どうやら風雨の全英オープンで、このアイアンが大きな武器になった可能性が高いのだ。

 このクラブを設計した竹林氏も「中空アイアンは、縦方向のスウィートスポットが広く、ティアップして使う場合やラフからのショットで安定した打球が出る。もちろん、縦方向のスウィートスポットという点では、フェアウェイウッドのほうが大きいが、それだとボールが高く上がり、風の影響をもろに受けてしまう。そうした点で、私のクラブが全英オープン向きだったということかもしれません」と分析、喜びを隠さない。

 もっとも、この中空アイアン本来のコンセプトでは、総じて弾道が高くなるはずだが、手首の返しの速いエルスのスウィングだと低い打球が出るというのだから、ある意味では嬉しい誤算が効を奏したというわけだ。

 日本では一般に浸透してきた中空アイアンだが、欧米ではまだまだ珍機種との印象が強く、このようなタラコ型にも似た形状の中空アイアンを手にしたこともないプレーヤーが多い。実際、米国では、今回全英オープンでのエルスの使用クラブについては、この2番アイアンよりも、テーラーメイドの新ドライバー「510」を使用していたことのほうが注目されていたが、少なくともエルスの優勝で、日本製の中空ユーティリティアイアンが市民権を獲得する可能性も高くなってきたといえる。

 そもそもショートウッドや、ソフトツーピースボールなど、日本発信で欧米で流行り始めたギアは数知れない。ひょっとしたら、これをきっかけに米国でも中空ユーティリティアイアンが流行するのかもしれない。

 ただ、付け加えておかねばならないのは、プロの使用クラブを発表するオフィシャル的存在、ダレルサーベイは大会初日にキャディバッグの中身を調べるのが恒例で、2日目以降に選手が使用クラブを替えたとしても公にはわからないということだ。

 しかし、プレーヤーの心理とすれば、通常契約メーカー以外のクラブを使う場合、ダレルサーベイの調査がある初日は契約メーカーのクラブを入れて、2日目以降に替えるというのが普通だろう。と考えると、3番~9番はエルスが契約するテーラーメイドの「300フォージド」アイアンを使っていたが、2番アイアンについては、この中空ユーティリティアイアンをティショットやパー5の第2打で多用した可能性が非常に高い。

 全英オープンでは、ご存知の通りティショットでフェアウェイをキープするかどうかが大きな鍵を握る。そう考えるとこのクラブが優勝に大きく貢献したことは間違いなく、竹林氏はもちろん、本誌もエルスの全英初制覇にひと役買ったといえる!?

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