週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
数年前までは国内ツアーのテレビ中継でも年に3~4試合は二桁の視聴率をあげていた。だが、ここ数年低迷が続き、関東地区では今年もこれまでのところ二桁どころか、日本プロの6.6パーセントが最高という有様だ。 また、T・ウッズ効果が期待されるメジャーの中継も、米国開催の場合は、早朝の生中継とあって、もっとも高かった日の平均視聴率でもマスターズが5.3パーセント(最終日)、全米オープンが4.0パーセント(3日目)と、意外なほど伸び悩んでいた。 今大会最終日の11.1パーセントという高視聴率も歴代の全英オープン中継の中では5番目(1位は丸山が10位に入った96年、2位は中嶋が8位に入った86年)だそうだ。やはり、今年のメジャー中継の伸び悩みは日本人選手が上位に行かなかったのが影響しているのだろう。 ところが、今回は丸山が最後まで優勝争いに加わったため予想以上の高視聴率につながった。 「周りでも、普段ゴルフの話題を口にしない人が、丸山選手のことを話していたので、いい数字になると思っていましたが、これほどとは思っていませんでした。今、ゴルフファンだけではこの数字は無理なのでは……。」(テレビ朝日・広報部) だが、同局には全英オープンの注目度が増すほどに、痛い問題がある。ゴルフ中継をいったん中断し、固定ファンの多い『大相撲ダイジェスト』を放送しなければならないこと。それが今回の最終日は、間の悪いことに、丸山が単独首位に立ったときの9番ホールのバーディパットに入ろうとした瞬間、その放送時間が来てしまった。実際、その直前に12.3パーセントという瞬間最大視聴率を記録している。 そうやって多くの視聴者が中継再開を待ってイライラしている間、喜んでいたのがCS放送などで、完全中継を行ったゴルフネットワークのスタッフだ。 「正式な視聴率ではないが、あるケーブルテレビ局で、その時間帯にゴルフネットワークとしての歴代最高視聴率を記録したそうです」(同制作担当者) まさに『大相撲ダイジェスト』様々といったところか。「CSのスカイパーフェクTVでは全英オープンの前週に新しく700世帯がゴルフネットワークと契約しましたが、これまでになかった数字です。たぶん、タイガー人気のお陰だと思いますが……」 多チャンネル時代の浸透を改めて感じさせる話だが、同じく地上波から視聴者を奪うチャンス、と狙っているのが、現地時間8月15日からの今年最後のメジャー、全米プロを中継するWOWWOWだ。 「全英オープン前はウッズに勝ってもらって、年間グランドスラムの話題で注目度が増すことを願っていました。それはなくなりましたが、替わって丸山選手への期待から、例年以上に注目されると思います」(担当プロデューサー) 全米プロでは昨年も片山晋呉が2日目にトップに立ち、同局の中継は大いに話題となった。 従来のファンの枠を超え、イチローや中田英寿見たさに、それぞれを放送するBSやCS局の契約世帯数が飛躍的に伸びた経緯がある。ゴルフ界でも、世界最高峰の舞台でも今回の丸山の活躍を契機に、一般の注目度が変わるかもしれない。