週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
噂が流れた始めたのは、全米プロの練習日。通常、メジャーな試合では、タイガーのそばにはつねにハーモンがいてスウィングを見ている。しかし、この大会でハーモンがつきっきりでスウィングチャックしていたのはJ・M・オラサバル。さらに決定的なのは、土日の朝の練習場で、ハーモンはレンジの真中3日目にトップに立ったJ・レナードのスウィングチェックをしていたが、タイガーが来て、レンジの右端で、練習を始めても全く動きを見せないばかりか、ウッズがアプローチの練習のために、ハーモンの後ろを通っても目も合わせなかったのだ。 そこで、最終日の記者会見で、タイガーへの質問となったのだが、「ブッチとの関係? 確かにこれまで通りではない。誰だって、自分のスウィングメカニックがわかってくれな、そんなにはコーチに頼らなくなるもんだよ。確かに僕にはまだブッチが必要だが、これまでほどではないということ。自分のゴルフや欠点がわかってきたし、その直し方もわかっている。球筋を見れば一目瞭然だよ。プレー中にミスしても、どうやって直せばいいのかわかってきた。もっとも、ブッチのスウィングを見る眼が素晴らしいことは間違いないけどね」と答え、完全に別れたとは断言しなかったが、ウッズがハーモンに対して距離を置き始めたのは間違いない。 全米プロで、ウッズはドライバーでのティショットで度々ミスを犯した。インパクトで、身体が早く開きすぎるのと、上体が上がり右にプッシュアウトするいつものミスだが、そのために「数ストロークは損したかもしれない」とウッズ自身がテレビのインタビューで答えていたが、決して最高の調子ではなかった。 ある意味、ハーモンの助けが必要だったのに、スウィングチェックさえ受けないのだから、単に距離を置いているのではなく、完全に別れたか、しばらく冷却期間を置くのではといった憶測が飛び交うのも当然だ。 米ゴルフダイジェスト誌のウェブサイトでは、「ブッチがマスコミにウッズの情報を流しすぎ、それがウッズの心象を悪くした」などと書かれていたが、ウッズとハーモンが年間契約で結ばれているために、仮に完全に別れていたとしても「切れた」とは公に言えないのではといった声もある。 ともあれ、これまでのような2人の蜜月時代が終わったことは間違いなく、全米プロ後の話題の焦点は、これが今後ウッズのゴルフにどう影響するかに移っている。スポーツイラストレイテッド誌のウェブサイトのアンケート調査では、23日現時点で、3186票のうち、ハーモンと離れたことがウッズのゴルフにプラスになると答えたのはわずか9パーセント。ウッズのゴルフは変わらないというのが55パーセント。マイナスになるというのが36パーセントもあり、これからすると今までのようなウッズが期待できなくなる可能性も否定できないのだ。 確かに、過去のウッズのメジャー8勝は、すべてハーモンとともに獲得してきたもの。これに対し、今年の全米プロの結果はタイガー自身メジャーでは初の2位。考えてみれば、あのJ・二クラスはメジャー18勝の裏で、メジャー2位も18回経験している。そろそろウッズも当然のツケを払い始めたということかもしれないが、果たして今回のメジャー初2位とハーモンとの別れが重なったのは単なる偶然なのだろうか?