週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。
「ミエコ・ウエサコ・スポーツ」(MUスポーツ)といえば、ゴルフウエア・用品のマーケットでいま最も注目されるブランド。ファッションデザイナーの上迫美恵子氏が、ゴルフ好きが高じて95年に始めたブランド。アメリカン・コッカースパニエルという長い耳の垂れた愛犬をモチーフに、とぼけた愛嬌のある犬のキャラクターを作り、そのヘッドカバーを作製するとこれが爆発的な売行き。以降、機能一辺倒だった当時の市場に、機能とファッション性を備えたウェアを次々と投入。半期ごとに売上げ倍増の勢いで、今や直営29店舗を中心に年商50~60億円規模にまでなっている。 現在はウェア以外に、帽子やグローブといった小物からバッグ、シューズまで揃え、さらに11月にはダイワ精工に委託したオリジナル・クラブを発売。また、年内にはハワイ出店で初のアメリカ進出を予定(韓国、台湾へは出店済み)。新たにイタリア生産の高級ライン「MUスポーツ・カピート?(イタリア語で“わかる?”の意味)」を立ち上げ、来春夏ものをすでに発表している。などなど、次から次と、まさに飛ぶ鳥を落す勢いの注目ブランドなのである。 しかし、MUスポーツの商品は7割が女性向けで、顧客の中心は30~50代の富裕層だ。モニター契約の女子プロもいるが、大塚有理子、樋口恵美など、落ち着いた印象の若手美人プロばかり。ゴツイ体格のアスリート・ゴルファーとは、イメージがまったく合わない。それが突然“男子プロのなかの男子プロ”といった感のあるジャンボと契約することになったのだ。 「ジャンボさんとは古くから面識があり、いずれ一緒に仕事をしたいと考えていました。それに、初めて男子プロと契約するにあたり(顧客の中心である)40代以上のゴルファーといえばやはりジャンボさんでしょう。この業界が今あるのは、ジャンボさんのお陰。大した金額じゃありませんが、年間契約をさせて頂きました」(同ブランド製造・販売のツーアンドワン金子成家社長) 「最初はやはり王様、一番強い方から着てもらいたいですからね」(上迫氏) すでにグローブ、キャップ、シューズ、バッグが『オザキマサシ・バイ・ミエコウエサコ』のネーミングですでに完成。早ければこの秋にも、トーナメントで使用することになるという。 注目のウェアについては、「ジャンボさんのブランドの方で、恐らくすでに来春夏用まで作られているでしょうから……。最初はジャンボ・ブランドの中からMUスポーツのテイストに合ったウェアを、ダブルネームで着て頂くことになると思います」(上迫氏)とし、どうやら本格的なオリジナルウェアは来年の秋冬モノ、つまり1年後の登場となりそうだ。 そのときは、これまでのド派手なベルサーチ調から一体どんな風に変わるのだろうか。 「10月にジャンボさんにお会いして、相談させていただく予定ですが、皆さんが『エッ? 変わったな』と驚かれるデザインにしたいですね。もともとファッション・センスがある方ですから、私もとても楽しみです。でも、ジャンボさんも大の犬好きですから、案外、可愛い犬のキャラクターになるかも(笑)」(上迫氏) ちなみに、長男の智春もモニター契約を希望しており、親よりひと足早く今年中にもMUスポーツ姿でコースに現われる可能性があるそうだ。 最近は、優勝から遠ざかり、巨額の借金返済から資産を競売にかけられる等の暗い話題が続くジャンボ。急にウェアが変わったからといって、「とうとう着る物まで差し押さえられたか」なんて誤解しないように!