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週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 10/8号
2002年更新
10月下旬の樋口久子クラシックが
全ギャラリーの入場料を無料にする理由
 ギャラリー入場料無料! 開催が危ぶまれていたHisako Higuchi Classic(11月25~27日、茨城・太平洋アソシエイツ美野里C)から、そんな景気のいい謳い文句が聞こえてきた。

 以前は「紀文レディースクラシック」という名称だったこの大会、97年に「樋口久子・紀文クラシック」と改名。今年は、日本人で唯一のメジャータイトルを持ち(77年の全米女子プロ)日本女子プロゴルフ協会の会長でもある樋口久子の名をそのまま大会名としての開催が発表されていた。だが、台所事情は火の車。一時は開催そのものまでが危惧されていたが、ここへきてそのメドが立ったというのだ。

 通常3日間の女子トーナメントにかかる経費は3億~4億円。同大会では昨年まで、その多くをメインスポンサーの紀文食品が負担していたが、今年は事情が違った。

「紀文さんの事情で大会の図式が変わったと思われがちですが、実はその反対。もちろん紀文さんも苦しくなってはいたでしょうが、大会をスリムに構造改革しようというコンセプトと、それがうまく重なった。必要のない経費は削って、あるだけのお金でやっていこう、ということからすべてがスタートしました」と長期にわたり大会を知る関係者が経緯を説明する。

 資金面で具体的に説明すると、ギャラリー入場料無料という画期的な試みが、実は2000万円近い経費の節減につながるのだ。有料だとチケット印刷代、券売の手間賃、駐車場係員の人件費、駐車場の賃料、送迎バス代等がカットできるからだ。

 ちなみにギャラリー全部が無料というのは「女性ギャラリーのみ無料(以前のジュンクラシック)のような限定されたものはあったが、すべてというのは記憶の限りない」と日本女子プロ協会、日本ゴルフツアー機構、日本プロゴルフ協会の各事務局も口を揃える。つまりトーナメントが盛んになったここ20年ほどの間ではなかったということだ。唯一、シニアツアーでのみ今年の何試合かも含め、無料サービスが行われている。

 テレビ中継にかかる経費の節減も大きい。

「限られたトーナメントを除き、日本のゴルフの試合はテレビ局が放映権料を払って買うのではなく、主催者側がテレビ放映枠を買って放送してもらっているのが現状。以前なら、スポットCMを売ることでその分ペイできていたが、不景気の昨今では半分も埋められればいい方」と主催者側の“持ち出し”になっているのが現状だ。

 今大会は以前は全国ネット、昨年はローカル局の放送だったが、これら地上波では8000万円から1億円かかるこの代金を、ケーブル局(ゴルフネットワーク)に持っていったことで半分以下の値段に抑えた。

 スポンサー集めに苦労しているため、大会概要の発表が遅れているが(9月17日現在)「5000万円から500万円までの様々なスポンサー」(大会関係者)がすでにいくつか名乗りを挙げており、今年の開催は決定済み。その中にはかつてのメインスポンサーの紀文食品はもちろんだが、これまではゴルフ業界に縁のなかった音楽業界の雄、エイベックスの名も含まれている。

 さらに通常の大会前日のプロアマに加え、火曜日の大会予選出場選手を使い月曜日にもプロアマを開催、大会直後にもスポンサーコンペを催すなど、なりふり構わぬ開催への必死の努力がそこかしこににじみ出ている。

 ギャラリー無料を含めた新しい試みがどんな結果を生み出すのか。今後のトーナメント界を占う上でもその成否に注目が集まる大会となるのは間違いない。

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